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第九十八章 その頃の彼ら 2.「マックス」~お守りクエスト(その2)~

 (そもそも)、この状況で仲介者を頼る事ができるだろうか。

 現状でコボルトと面識がある?のは、シュウイだけである。(シュウイ)の話を聞くに、幻獣クエストの帰り道では、コボルトたちは同行していた「アポカリプス」にも手を振っていたそうだが、少なくとも仲介者として見た場合、シュウイの方が適役なのは事実だろう。

 そして、そのシュウイに対するコボルトたちの評価はと言えば――



(……シュウのやつ、【腋臭】(へんなスキル)でコボルトを追い払ったそうだからなぁ……)



 あの時の状況に(かんが)みて、好意的な評価は持たれていない可能性もある。シュウイなら【聴耳(ききみみ)()(きん)】のスキルで会話も可能かもしれないが、それを当てにするのもどうかと思う。


 結果、彼らが採った策はと言うと――



「――っ!」

「おーぃ……逃げちまったな」

「そりゃ、怪しいのが一遍に五人も飛び出てくりゃ、コボルトだって逃げるわ」

「プラカードは効果無しかぁ……却って逆効果だったかな?」

「いや、写真にまで気付かなかったのかもしれん」



 呆れた事に、彼らはシュウイの写真(拡大)とお守りの写真(拡大)を貼り付けたプラカードを掲げていた。勿論、シュウイには予め――呆れられはしたが――諒解を取ってある。



「……プラカードだけ置いといた方が好かったかな?」

「今更愚痴っても仕方がないだろう」



 あわやクエスト失敗か――と思われたその時、



「あ、おぃルヴァ?」



 タクマが思わず掲げたお守りを、魔術師マギルの頭の上に陣取っていたルヴァが音も無く引っ掴んで少年の跡を追い、走って逃げているコボルトの頭の上に落とすという挙に出た。

 (くだん)のコボルト――どうやら少年らしい――も驚いたようだったが、タクマたちが追って来ないのを見て敵意が無い事は理解したらしく、素早くお守りを拾い上げると、黙ってペコリと頭を下げてそのまま走り去った。



「あー……まぁ、悪い結果じゃないんじゃないか?」

「一応、落とし物は渡せたようだからな」



 ――そう、悪い結果ではなかったようだ。その証拠に、



《クエスト「コボルトのお守り」を特殊クリアーしました》


《『コボルトの少年の友誼』を得ました》



 ――というウィンドウが一同の目の前に浮かんでいるのである。



「え? こんだけ?」



 拍子抜けしたような声を上げたのは、パーティのリーダーたるサントであったが、



「そうなんじゃね? シュウイにしたって、まだ村とかには誘われてないみたいだし」



 ――というタクマの台詞(せりふ)には頷かざるを得なかったようだ。


 とは言え、他の面々にしても、(いささ)か拍子抜けの思いがあるのも事実である。

 クエスト自体はどうやら首尾好くクリアーできたらしいが、狙っていたコボルトとのコネは得られなかったようだ。いや、それを言ったら言い過ぎか。現に「コボルトの少年の友誼」という称号は得ているのだ。しかし……



「『コボルトの友誼』でないところがなぁ……微妙と言うか……」

「いや、称号を貰えてありがたいのは事実なんだがな……」



 これもコネと言えばコネには違い無い。そう思って納得した「マックス」一同であるが、



「……問題はこの〝特殊クリアー〟という箇所だよな」

「あぁ。普通のクリアーとは違うって事だよな」

「報酬が『コボルトの少年の友誼』になったのも、そのせいか?」



 うち(そろ)って雁首を(かし)げる一同であったが……

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― 新着の感想 ―
[一言] 従魔とかと好感度上げてアシストが入った場合のクリアかな?<特殊クリアー
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