第九十五章 篠ノ目学園高校 5.放課後~蒐一@ファミリーレストラン「ファミリア」(その4)~
SROでは、各スキルの詳細な説明は、そのスキルを最低でも一回使用しないと読めない仕様になっている。ただ、聞いた限りでは『遊び人』というのは相当な地雷職のようだし、だったらこれらのスキルもかなり物騒な地雷スキルの可能性が強い。アクティブスキルならまだしも、パッシブスキルであったなら、放っておくと勝手に暴発する虞がある。何しろ【暴発】なんていう、そのものズバリのスキルまであるのだ。ここは用心の上にも用心を重ねたい。
「……その気持ちは解るけどな蒐、俺たちだって基本的な事しか知らないぞ?」
「うん。今は少しでも情報が欲しいから」
そう言う蒐一からの要望を受けて、幼馴染み三人が教えてくれた各スキルの効果は、それぞれ以下のようなものであった。
【暴発】遊び人の固有スキル。使用してもいないスキルが確率で暴発するというものであるが、その結果は必ずしも悪いものではないという、毀誉褒貶に困るスキル。
【ファンブル】遊び人の固有スキル。確率でスキルがファンブルするが、それ以外にも取ろうと思った行動がファンブルして、全然別の行動になる事がある。ただし、その結果は必ずしも悪いものではないという、毀誉褒貶に困るスキル。
【遊興術 初級】遊び人に就職すると手に入るスキル。場所を選ばずにゲームや手品が使えるようになる。固有スキルではないが、遊び人以外はほぼ使いどころの無いスキル。
「……【遊興術】はともかく……他の二つは凄く癖のあるスキルみたいだね……」
ガックリと項垂れた蒐一の力無い呟きに、幼馴染み三人は無言で頷きを返す。口に出せるようなコメントを思い付けないがゆえに。
「……一番聞きたいのは、このスキルがパッシブかアクティブかって事なんだけど……」
恐る恐るという感じの蒐一の質問に、無情な答が返される。少なくとも、【暴発】と【ファンブル】はパッシブであるらしい――と。
思わずテーブルに突っ伏しかけた蒐一に、
「あ、けどな蒐、控えに廻している限りは、悪さをする事は無いみたいだぞ?」
「……僕、スキルを控えに廻すなんて事、できないよ……」
ユニークスキル【スキルコレクター】を取得すると、スキル枠の上限が撤廃される代わりに、控え枠というものが消失する。控えに廻せないというより、控え枠そのものが存在しないのである。
「あぁ。けどな、『遊び人』をサブジョブに廻す事はできるだろ? そうしている間は大丈夫な筈だ」
「ナントさんもそんな事言ってたけど……確かなのか? それ」
「多分大丈夫じゃないかしら。この事は運営も明言しているし」
「あの運営が珍しく公表している情報だからな。事実とみていいだろう」
「けどさぁ……それって一般プレイヤーの場合だろ? 僕、【スキルコレクター】を持ってるんだけど……?」
「それでも問題は無い筈よ? 運営が一旦口にした確定情報だもの。公表内容を裏切るような事はしないと思うわ」
「うん、面子に賭けても嘘にはしない筈!」
本日唯一とも言える希望を聞かされた蒐一は、
「それに賭けるしか無いかぁ……」
――と力無く呟くのであった。




