第九十五章 篠ノ目学園高校 1.放課後~教室~
今回は少し短いです。ちなみに、本章は全部で八回の予定です。
中間考査明けの金曜日の放課後、篠ノ目学園高校一年一組の教室で、
「よぉっしゃあっっ! 今んとこ赤点はオールクリアだぜ!」
本日返却された分の答案を掲げて吼えているのは瀬能原匠。その隣で同じようにガッツポーズを決めているのは纐纈茜。ともに巧力蒐一と高力要の幼馴染みである。
何しろ、高校入学早々の中間テストで赤点など取った日には、折角のSROを取り上げられるかもしれないとあって、勉強嫌いの匠と茜の尻にも火が――それも猛烈な業火が――点いていた。入試以来の猛勉強を成し遂げた甲斐あってか、少なくとも現時点では赤点をクリアーしているとあって、匠と茜の鼻息も荒い。
そして――そんな二人を生温かい目で眺めている蒐一と要。
「良かったな匠。やればできる子だって証明されたじゃないか」
「おぅ! 初回ぐらいはって頑張ったからな! 思ったより良い点が取れそうだ!」
「うんうん。……でもさぁ匠、小母さんはどう思うかなぁ?」
「……あ?」
不穏なワードを囁かれて、蒐一の微笑が妙に空々しく見えてくる。……そう言えば、こいつは「微笑みの悪魔」だった……
「高校の成績って、この第一回のテストが基準になるんだろうなぁ……つまり……」
「……つ、つまり……?」
「次の成績がこれより下がったら、〝勉強をサボってる〟――って思われたりするんじゃないかなぁ……?」
「――っ!?」
予想外の、そして不穏当な言葉を聞かされて、匠の表情が凍り付いた。……悪友は何を言ってるんだ?
「赤点とかに関係無く、今回より試験の点数とか成績とかが下がれば、それは全部ゲームのせいにされるんじゃないかなぁ……」
「なっ!?」
今回限りと思えばこそ、限界以上の力を振り絞って、どうにかこの成績を確保したのだ。これをスタンダードにされたりして堪るものか。だが……
「大丈夫だ、匠。お前は〝やればできる子〟だろ?」
愕然としている匠の隣で、同じくフリーズしている茜。
そんな彼女がギ・ギ・ギとばかりに頭を巡らせると、その視線の先で優しく温かく微笑んでいたのは……
「大丈夫よ茜ちゃん。私も協力するからね?」
「僕も勉強を見てやるよ、匠。これからも一緒に頑張っていこうな?」
「「――――!!(涙)」」
教室に居残っていたクラスメイトたちは、そっと涙を拭ったという。
「死霊術師シリーズ」の新作「片腕の証言」第一話を公開しています。今回は二話構成で、第二話は本日21時頃に投稿の予定です。宜しければこちらもご覧下さい。




