第十二章 篠ノ目学園高校(水曜日) 1.昼休み
「え、蒐君、従魔術師と召喚術師に知り合いができたの?」
要ちゃんを交えた四人で、いつものように屋上で弁当を食べていると、僕の話を聞いていた茜ちゃんがそう突っ込んできた。
「うん。フレンド登録まではいってないけど、それとなく色々聞き出す事は一応できた」
「二人とも女の子って、蒐君も結構やるわね~ぇ」
「変な邪推しないでよ、要ちゃん。ただの知り合いなんだから。大体、従魔術師と召喚術師に知り合いを作れって言ったのはそっちじゃん」
「けど、言ったその日に作るとまでは思わなかったぞ。……で、可愛いのか?」
「ん~……可愛いと言えば可愛い方かな?」
「匠君、駄目だよ。蒐君の場合、自分と比較しての評価になるんだから」
「やめてよ、茜ちゃん! 昨日も変なチャラ男に絡まれて疲れたんだから」
「あ? ……SROでの話か?」
「そうだよ。僕を女の子と間違えて言い寄って来てさぁ……」
「あ~……久々に出たかぁ……」
「年に五、六回は口説かれてるよな」
「そこまで多くないよ……多分」
「いや、そんなもんだと思うぞ」
これ以上この話題を続けるのは自分にとって不利。そう悟った蒐一は強引に話題を変える。
「それより、彼女たちと話していて聞いたんだけど、弓って不遇スキルなの? 三無武器とか聞いたけど?」
「あ~……弓はねぇ……」
「当たらない刺さらない金がない、か」
「やっぱり本当なんだ? クロスボウもそうなの?」
「クロスボウは少し違うんじゃない?」
「そう言えば……クロスボウの評価自体、あまり聞かないな」
「プレイヤーが少ないんじゃない?」
「そうなの? でも、ナントさん、自分の店以外でも、大きな町ならボルトは手に入るみたいな事を言ってたよ?」
「運営側としては制限する気が無いって事だろ」
「……ねぇ、キャラクタークリエイトの時に表示されたスキルの中に、クロスボウって、あった?」
要の疑義に考え込む一同。
「……そう言えば……見なかったような気がするな……」
「僕も……」
「あたし、武器はあんまり見なかったからなぁ……魔法職に決めてたし……」
「私は一応見たんだけど……憶えがないのよね……」
「……ボウガンとか弩で表示されてたのかな……」
「いや……多分それも無かったと思うぞ……」
一同思案投げ首の体であったが、ここで蒐一がある事に気付く。
「……そう言えば、バグ・ナクや吹き矢のスキルも無かったよね。僕、武器の現物を持ってるのに」
「……言われてみれば確かに無かったわね」
「む~……憶えてない」
「いや……ちょっと待てよ」
匠はスマホを取り出すとどこかへアクセスしていたようだが……
「やっぱりだ。SROの公式サイトの説明には、アーツの項目に『暗器術』っていうのがある……そういや、鎖鎌なんてのもあったな」
「……吹き矢とかは隠しスキルって事?」
「クロスボウもそうなのかしら?」
「あるいは、弓の一種として扱われているかだな」
「これは一回試し撃ちしてみた方がいいよ、蒐君」
「あれって、町中で撃っちゃいけないんじゃなかった?」
「SROでもそうなのかしら?」
「判らんが……あの運営の事だからな。罠かもしれん」
「お外で練習、決定だね、蒐君♪」
「茜ちゃん……何でそんなに楽しそうなのさ……」
「蒐、外に出る前に、冒険者ギルドの訓練場で弓の稽古をしとけ」
「冒険者ギルドに訓練場なんてあるの?」
「あぁ、初心者は大抵そこで剣や槍のレクチャーを受けるんだ」
「そっかぁ……僕、知らなかった」
「まぁ、蒐君には必要ないんじゃない?」
「う~ん……でも、弓はあんまり得意じゃないし、不遇の理由も知りたいから行ってみる」
ここで予鈴が鳴ったので、蒐一たちは各々の教室へと戻って行く。
次話は金曜日に投稿の予定です。




