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第一章 トンの町 1.冒険者ギルド

冒険の始まりなんですが……

 SRO(スロウ)にログインした僕は、最初に冒険者ギルドに向かう事にした。()にも(かく)にもギルドに登録しないとゲームを進める事ができないしね。


「トンの町冒険者ギルドへようこそ。本日はご依頼ですか? ご登録ですか?」

「冒険者登録をお願いします」


 で、テンプレな会話と手続きの後、僕は首尾良く冒険者としての登録を終えた。冒険者ランクは最低のF。依頼は自分のランクの一つ上まで受注できるという。受注した依頼を完了できなかったら、依頼のランクに応じた罰金が課せられる。当然、上のランクの依頼は報酬だけでなく罰金も高いので、無茶な依頼を受注する者はほとんどいないそうだ。


「転職した場合はどうなるんですか?」

「そのまま冒険者として登録を続ける方が多いですね」

「あ、複数のギルドに登録できるんですね?」

「はい。ただし一年以上依頼の受注、もしくは素材の納品が無い場合、冒険者資格は取り消されます。再登録には銀貨五枚以上が必要ですので、ご注意下さい」

「……以上というのは?」

「Fランクの場合が銀貨五枚。それより上のランクになると、再登録の費用も高くなります。この場合は、元のランクより一つ下のランクに再登録となります。(もっと)も、形式的に冒険者資格を保有しておきたいだけの方は、銀貨五枚だけ払ってFランクに再登録する方も少なくありませんね」

「なるほど、解りました」


 説明を聞いた後で依頼が貼ってある壁を眺めていると、これまたテンプレな展開が僕を待っていた。


「おい坊主、ここはお(めえ)みてぇなヒヨっ子が来る所じゃねぇぜ。良い子だからママの所へ戻って大人しくしてな」


 うん、テンプレだね。


 テンプレな相手は誰だろうと振り返ってみると、驚いた事にプレイヤーだったようだ。てっきりNPCかと思ってたんだけどね。


 相手の座り方や手の置き方を見た限りじゃ素人もいいところだけど、ゲーム内でプレイヤースキルがどう扱われているのかを確かめるには良い機会だ。このテンプレ、お受けします♪


「ヒヨっ子に注意してくれるのは、そっちのヒネっ子かな? ヒネたままで腐っていきそうな感じだけど?」

「ぁんだと、コラ。喧嘩売ってんのか、テメエ!」

「そっちに買うだけのゆとりがあるんならね」

「良い度胸だ! ガキに世間ってものを教えてやんぜ!」


 VRMMOを世間って言い切るあたり、引き籠もりのネット廃人かな? そんな事を考えていると不意にポーンという電子音が響いて、空中に半透明なウィンドウが出現した。



《プレイヤー「ガッツ」からPvPの申請が来ています。受けますか? Y/N》



 へぇ、これが話に聞くPvPか。迷わずYをタッチすると、周囲に半透明のフィールドが形成された。これが決闘フィールドというやつか。



《どちらかが死亡、もしくは戦闘不能、もしくは降伏した時点で決闘は終了となります。決闘終了後に攻撃を加える事は許可されませんのでご注意下さい》



 さあ、始めようか。


 ヒネっ子の兄ちゃんはやにわに大剣を振りかぶると、力任せに振ってきた。握りが甘いから剣の軌道がふらついている。腰も据わってないから剣に引きずられて、前に一歩踏み出した。それ以前に間合いが届いてない。結果、兄ちゃん渾身の一撃は、僕の半歩先の地面を(えぐ)るだけで終わった。


「おらぁっ! ビビってんじゃねぇぞっ!」


 いや、ビビる必要なんかないし。そのまま立っていたら、今度は袈裟懸(けさが)けに斬り込んできた。一歩だけ左に寄って(かわ)す。振り切った後が隙だらけだから、一発撃ち込めば簡単に終わるけど、折角だからスキルの実験台になってもらおう。


(【しゃっくり】)


 頭の中で念じてみたら、今にも斬りかかってきそうだった兄ちゃんが突然体勢を崩した。すかさず踏み込んで鼻っ柱を引っぱたくと鼻血を出した。へぇ、このゲーム、こんなとこまで再現してるんだ。


「糞がぁっっ! 舐めんじゃねぇっっ!」


(【腹話術】「後ろだよ」)


 耳元で(ささや)くように発声してやると、馬鹿は思わず後ろを振り返った。その隙に股間の急所を蹴り潰してやると、(ひき)(がえる)()(つぶ)されたような声を出して(うずくま)ったので、顎先を蹴り飛ばして仰向けにしてやる。顔面をストンピングで踏み潰していると、五回目に馬鹿の姿が消えたかと思うと、ポーンという電子音とともに《You win》という文字が空中に表示されて、決闘フィールドが解除された。馬鹿はフィールドの外にへたり込んでいたが、僕と目が合うと横隔膜が引き()ったような声を出して、這々(ほうほう)(てい)で逃げて行った。



《プレイヤー「ガッツ」の所持金八千Gの所有権が、プレイヤー「シュウイ」に移りました。ステータスボードを確認して下さい》



 へぇ、こういう仕組みなのか。……PvPって結構実入りが良いんだな。開始時点の所持金が千Gだから、これは大きい。他に挑戦者(カモ)はいないかな、と思って周囲を見回すと、全員が一斉に顔を()らした。……残念。


 ステータスボードを眺めていると、見覚えのないスキルが表示されていた。



【解体】(たお)した獲物を解体して戦利品を得る。



 ログを確認してみると、さっき潰した馬鹿から奪ったスキルのようだ。動物やモンスターの他、人間を(たお)した場合も、相手の持つスキルを一つ奪えるらしい。……この場合も、よりマイナーなスキルから優先的に奪うみたいだけどね。

主人公、いきなりやらかしました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 悪い先輩ロールプレイじゃなくバカと言い切る主人公w
[一言] この主人公、初っ端から愛せる予感。笑
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