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第七十七章 SOSカナさん 1.シュウイの経緯(その1)

本編再開です。

「これはこれは、カナお嬢様のご友人ですかな?」

「「はぁ……」」

「申し遅れました。(やつがれ)はこの度お嬢様の(しもべ)となりましたサンチェスと申す者、キャプテン・サンチェスとお見知りおき下さい」

「「はぁ……」」


 (ぼく)もタクマも、優雅に帽子――幅広のつばとド派手な羽根飾りの付いたやつ。ビーバー帽っていうんだっけ――を取って大袈裟に一礼する人(?)物に、曖昧に返礼をする。うん、相手が何者(・・)であれ、礼には礼をもって返すべきだよね。それくらいは僕も解ってるんだけど……


「いやぁっはっはっは、さすがお嬢様のご友人だ。油断のならぬ面構えですな♪」

「「どうも……」」

「どうか今後も、お嬢様の事を宜しくお頼み申しますぞ?」

「「はぁ……」」


 うん……礼儀がなってないって言われそうだけど、想定を遙か斜め上にぶっちぎった相手といきなり遭遇した者としては、(ぼく)たちの態度もそう捨てたものじゃないと思うんだ。


 ……少なくとも、十八世紀フランスの銃士風の、(きら)びやかな衣裳に身を包んだスケルトン(・・・・・)に対するものとしては、まぁまぁ合格点じゃないかな。


 原因となったカナちゃんは向こうでテーブルに突っ伏してるけど……無理もないよね。事情を聞いた僕たちだって、わーっっ……て、ひっくり返りたくなったもん。



 ――ややこしいカナの事情は後回しにして、とりあえずはなぜここイーファンの宿場に――正確にはその郊外の野営地に――シュウイとタクマがいるのか、その経緯(いきさつ)から説明しておこう。

 二人とも、話の発端は前日に遡る……



・・・・・・・・



 まずシュウイであるが、新人二人への特訓は一日休んだが、今日から再び再開するか、それとも先に二人の育成方針をしっかりと相談するべきか。自分の独断で決めるのはやめて、少しは――少しだけは――二人の意見も聞いてみようかと考えたシュウイは、とりあえず二人から昨日の報告を受ける事にした……



「え~と、昨日はギルドで採集依頼を受けたんです」

「薬草を二十本採集するっていう依頼でした」

「あぁ、あれかぁ」



 シュウイも最初の頃はお世話になった依頼である。(もっと)も、シュウイは採集関係のスキルを得られないため、採集には大いに苦労した憶えがある。その後はほとんど狩りが主体になったので、採集依頼は数えるほどしかこなしていない。



「採集関係のスキルは、上げておいた方が良いだろうね。今は僕とパーティを組んでいるからドロップ品で潤っているだろうけど、先の事を考えると、自力で稼ぐ技術は欲しいよね」

「はい」

「あたしたちもそう思って依頼を受けたんですけど」

「さすがに一日じゃレベルはあがりませんでした」

「そりゃあねぇ……一日でそうそうレベルが上がるようじゃ、有難(ありがた)()ってものが無いだろ?」



 だったら、【警戒】と【隠蔽】はどうなのだと問い詰めたい二人であったが、そこはどうにかスルーした。あの特訓が普通でないという、何よりの証左だろう。まぁ、お蔭で開始早々からレベルアップの恩恵に(あずか)れた訳だが。二人とも【警戒】のレベルは2、【隠蔽】のレベルはモックが2でエンジュが3にまで上がっている。これは、隠れた回数はエンジュの方が一回多いからだろう。代わりにモックは【咆吼】のスキルを獲得している。なお、二人とも種族レベルは2のままである。……いや、開始早々にレベル2というのは、やはり異例ではあるのだが。

 ともあれ、戦闘に参加する可能性がまず無い宝石職人(ジュエラー)と、参加の可能性が少しはある吟遊詩人(バード)の違いを考えると、概ね順調な滑り出しと言えそうだ。



((……順調……?))

「どうかした? 二人とも」

「いいえ」

「何でもありません」



 内心で少し首を(かし)げたものの、シュウイはそのまま持論の表明に移った。シュウイの経験――かなり偏ったスキルからの経験ではあるが――に()れば、スキルが使いものになるのはレベル3くらいからである。レベル1は邪魔なだけ、レベル2は邪魔でないだけ――あくまでシュウイの経験――という場合が多い。従って、身を守るのに最低限必要な【隠蔽】と【警戒】だけでも、早いうちにレベル3にしておくべき――というのが特訓の理由であった。



「そういう事だったんですか……」

「本当は逃走系のスキルも3くらいまで上げておきたいんだけど、そっちは僕、()く解らなくてさぁ」

「「はぁ……」」

ようやくこのキャラを出せました。


新作「転生者は世間知らず」も宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] シュウイの場合、逃げる前に戦え!って事かな(笑)
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