お正月特別SS 座右の銘~茜の場合~
正月特別SSの二話目です。
「あ~、糞っ! 半沢の野郎面倒な課題出しやがって!」
「本当だよ~……」
苦い顔をして頭を抱えている匠と茜、そしてそれを不思議そうな面持ちで見つめる蒐一と要という、いつもの情景が繰り返されていた。
「ザユーノメイって……要するにモットーの事なんだよね?」
「そうよ。茜ちゃんのモットーを答えれば良いの。簡単でしょ?」
「で、茜のモットーは何なんだ?」
「……匠、分けてもらおうなんて考えるなよ?」
じっとりとした目付きで釘を刺す蒐一と、ピクリとその身を震わせる匠。そんな寸劇には気付かず、茜は自分のモットーを挙げていく。
「んっとねー……『悩む暇があったら動け』!」
(「ソレ、脳筋って言うんじゃ……」)
(「行動(motion)は情動(emotion)に従属する筈よね……」)
(「行動(motion)から発展したのが情動(emotion)って事なんじゃないかな」)
ヒソヒソ声で評定する幼馴染みたちを気にも留めず、次々とモットーとやらを開陳していく茜。
「『大は小を兼ねず』!」
(「どこの大小?」)
(「せめて『何の』って言ってあげようよ……要ちゃん」)
(「同意してもしなくても、男として拙い気がするんだが……」)
「『早起きは三文の得』!」
(「小学校の時、ラジオ体操に行く途中で財布を拾って以来、ずっと言ってるよね」)
(「人は経験から学ぶのよ」)
「『寝る子は育つ』!」
(「割と切実みたいよ?」)
(「夜更かししてたから、成長ホルモンの分泌の事を教えてあげたんだよね」)
(「昔は、『寝る子は粗雑』って間違えてたくせにな」)
(「あぁ……寝相と寝癖の事ね……」)
「カミは死んだ!」
「……いきなり傾向が変わったわね……」
「それってモットーとは少し違うんじゃない?」
「……モットーだったらある意味恐ろしいな。茜、何でそんなのを持ち出したんだ?」
「えーとねぇ……こう言ったら、なぜだかお父さんが悄気ちゃったの。それ以来、何となく憶えてて……」
「「おじさん……」」
「カミ違いじゃねぇのか、それ?」
「ニーチェも形無しね」




