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第七十三章 トンの町 9.運営管理室再び(その1)

「幼虫を助けるために召喚契約をしたのか?」

「似たような事をやったプレイヤーは他にもいるからな」



 シュウイという少年は色々と規格外ではあるが、契約してもいないモンスターのために何かをしたプレイヤーは他にもいる。餌付けは勿論、怪我をしているモンスターの手当をしたプレイヤーもいるのだ。それ自体はそこまで珍しい事ではない。

 珍しいのは、目の前で傷付いている(・・・・・・・・・・)モンスターと召喚契約(・・・・・・・・・・)を結んだ(・・・・)という事である。



「……普通、こういう場合は従魔契約を結ぶもんだよな?」

「召喚獣というのは、過去に(たお)した事のあるモンスターがリストアップされて、その中から契約相手を探すもんだろう……普通は」

「餌付けなんかで懐いた個体がいる場合、その個体が望めば召喚契約を結べるようだがな。全く……開発チームの連中もやってくれる」

「一応、初回契約時にほぼ限られるようにはしてあるらしいが……」

「あんまり信用はできんな。何しろあの『モフモフの魔女』の一味だからな」

「召喚獣や従魔の希望が最優先と言い切ってたからなぁ……」



 プレイヤーの問題児(シュウイ)身内の問題児(モフモフぐみ)の板挟みとなり、我が身の不運を嘆いてどよんとなっていた管理室の面々であったが、やがて現状の把握を優先すべきだと気を取り直す。



「……という事はつまり……」

「我が身の危険を察知した幼虫が、一も二も無くトリックスターの契約提案に同意した――と?」

「そういう事だろうな、多分」



 一応の辻褄は合っているという事で、スタッフはこの案件を解決済みとして扱う事にした。何しろ、この少年は少しでも目を離すと何をやらかすか知れたものではない。継続的な監視は必要である。



 そして……その監視の甲斐あって……運営管理室のスタッフたちは、重要な場面に――モニター越しに――立ち会う事になった。



「……嘘だろう……」



 モニターの中ではツリーフェットたちが、ズートの葉についての隠し情報をあっさりとカミングアウトしていた。



「ズートの葉が【錬金術】と【調薬】の隠し素材なのは知っていたが……」

「こんな告知ルートがあるのかよ……」



 実は、ズートの葉についての情報は、プレイヤーが現物を入手できた場合か、入手が確実になった段階で、住人(NPC)から教えられる事になっていた。そしてそのためには、住人(NPC)と親密な関係を築いておく事が前提条件になるのである。ゆえに、プレイヤーがこの情報に接するのはもう少し後だと考えられていたのだが……



「……確かに……ツリーフェットも住人(NPC)と考えれば……条件は満たしている事になるか……」

「『ツリーフェットの友』っていう称号を持ってるからなぁ……好感度の点は問題無いわな……」

「何気にズートの親木の好感度も高いしな……」

「これって、隠しクエストの隠し報酬なんでしょうか?」

「どうやらそうみたいだな。……しかし、この子はどうしてこう番外ルートを見つけ出すのが上手いんだ?」

「ひょっとして、リアルでも『トリックスター』なんじゃないか?」



 あまり褒められた事ではないが、こうも続けてこちらの裏を掻かれると、リアルの境遇や才能というものを知りたくなる。



「……まぁ、今回は流出の危険度は低いだろう。不幸中の幸いだ」

「しかし……その分はあの幼虫と子亀のレベルアップに使われるんだぞ?」

「一体どこまで強化が進むんだ?」

「あの……今更なんですが……」



 恐る恐るといった(てい)で手を挙げたのは、最年少スタッフの中嶌(なかじま)であった。

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― 新着の感想 ―
[一言] シュウイ君は現実でも色々やらかしてますもんね 本人は望んでないでしょうけど
[良い点] 追いついた!楽しく読ませてもらってます!! [気になる点] なんか無理して難しい言葉を使ってる気がするんだけど気のせいかな… [一言] ちょっとテンポが悪いだろうか?いまだに最初の町が拠点…
[一言] あの葉っぱや実を食べると、やっぱり従魔や召喚獣がパワーアップするんだ?
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