表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/865

序  章 2.篠ノ目学園高校一年三組(金曜日)

リアルサイドの話です。

「わはっ……わははは、はははっ、ははっ!」


 入学早々後ろの席で馬鹿笑いしているのは、小学校以来の僕の親友、瀬能(せの)(はら)(たくみ)だ。僕をスキルリッチ・ワールド・オンライン――プレイヤーはSRO(スロウ)と略称しているらしい。そのまま略したらSRWOなんだけど、それじゃぁ語呂が悪いという事で、誰言うともなくSRO(スロウ)に決まったらしい――に誘った張本人だ。


「いい加減にしろよ(たくみ)。こっちは結構深刻なんだぞ」

「ぷっ……くくっ……済まん。けど……ひひっ……一応はユニークスキルなんだろう? それなりに美味しいんじゃね?」

「……後で説明してやるよ。昼休みにでも」


 予鈴が鳴ったので、雑談はそこまでにして入学式に出る準備を整える。僕は一応真面目な生徒で通ってるんだよ、これでも。



・・・・・・・・



 で、入学式の後で教科書販売やら説明会やらで午前中を潰して解散になったんだけど、だからといって午後からの予定がある(わけ)でもない。天気も好いし、屋上で弁当でも使うかという話になった。弁当を食べながら(たくみ)駄弁(だべ)っていると、クラスメイトの女子がやって来た。


「やっぱりここか~」


 僕たちが上の階へ上がっていくのを見かけて追いかけてきたらしい。


「よう、(あかね)も弁当か?」

「うん。さっき(たくみ)君が馬鹿笑いしてたし、(しゅう)君が開始早々何かやらかしたんだろうなって思うと、矢も盾もたまらなくなって来ちゃった♪」

「ぷっ……くくっ……。そりゃ、本人から聞いた方がいいぜ」


 僕は憮然として昨日のキャラクリの顛末(てんまつ)を再び説明した。(あかね)ちゃんは(たくみ)のように馬鹿笑いせず、親身になって心配してくれた……(うつむ)いた時に肩が震えていたのは気にしないよ、うん。


「で、その『スキルコレクター』って、どんなユニークスキルなんだよ? あ、言いたくなけりゃ言わなくてもいいぞ」

「……口にしたくもないけど、聞いてよ。まず、ユニークだけあって、控えに回す事も捨てる事もできない」

「……それ、地味にきついかもな」

「スキルの蒐集という性質上、スキルスロットの上限は撤廃。これは控えスキルスロットも同じ」

「……それ、凄く良いんじゃないの?」

「で、このスキルはレアスキルが集まって来るというものなんだ」

「おい、夢みたいなスキルじゃないか、それ」

「夢は夢でも悪夢の方だよ。序盤で集まって来るスキルの大半は、他のプレイヤーが捨てたレアスキル。これで大体見当が付かない?」

「プレイヤーが捨てたレアスキル……って」

「そ。役に立たないスキルばっかり。ちなみに、『スキルコレクター』の効果で、スキルオーブの購入やクエスト報酬によるスキル取得は原則不可能になってる」

「あの……(しゅう)君、差し支えなかったら今のスキル構成を聞いてもいい?」

「うん、笑えるよ。聞いて驚け、【しゃっくり】【地味】【迷子】【腹話術】だ」

「何……それ……?」



【しゃっくり】対象者は一定時間しゃっくりが止まらなくなる。Lv1では一分間。クールタイムは三分。

【地味】他人に認識されにくくなる。

【迷子】迷子になる。副効果として追跡を振り切る事ができる。クールタイム無し。

【腹話術】自分と離れた任意の位置から声を出す。クールタイム無し。



「……役に立つのか立たんのか、微妙なスキルだな……」

「……役立たずって事は無いんじゃないかな……」

「問題はそこじゃなくて、基本的なスキルを持つ事ができないって点だよ」


 うんざりしてそう指摘すると、二人ともはっとした顔付きになった。遅いよ。


「……って、序盤からスキル無しでやれって事かよ」

「何……その縛りプレイ」

「ま、その代わりにステータスの値が五割増だから。何とかなるとは思うけど……」


 このゲームでは、スキルが無くても同様の行動は可能だからね。ステータスが高ければそれなりに動けるとは思うけど……こればっかりはやってみなくちゃ判らない。


「マジかよ……何とも判断に困るスキルだな……」

「キャラクリのやり直しはしないの?」

「曲がりなりにもユニークスキルだしね。一応これでやってみるよ」

「そうか……けど、これじゃアドバイスもしにくいな」

「一応βテストプレイヤーだから、助言くらいできると思ってたんだけど……」

「予想外のキャラを作ってきたからなぁ……」

「いや、僕が作った(わけ)じゃないからね?」

本日はあと五話ほど投稿……の予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「しゃっくり」 詠唱必要な魔術師とかが相手なら、詠唱中断に有効かも? 「地味」 スニーキングまたは隠れる時に有効かも? 「腹話術」 森などで隠れてる際に見つかりそうになった時、別な場所から声を出し…
[気になる点] 入学式で午後授業ないのに、お弁当持参なんです? 少し気になったので質問してみました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ