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第六章 ナンの町へ 2.ナントの道具屋(その2)

準備編の続きです。

ナントさんから提案された武器は、僕の予想外のものだった。


「あるんですか? クロスボウ」

「一応ね。簡単な造りのやつだけど、その分操作も簡単だし、特にスキルが無くても扱えるよ」


 ……どうしよう。クロスボウなんて、現実には扱う機会が無いしな。ナントさんの言うとおり、これくらいならスキル無しでも扱えるだろう。遠距離攻撃の手段が手に入るんなら、これは買いかな?


「滑車が無い……コンパウンドボウではないんですね……有効射程は?」

「大体四十メートル強ってとこかね。普通の金属鎧なら貫通するよ」



 ナントの台詞(せりふ)にぎょっとする「黙示録(アポカリプス)」の面々。



「ボルトって、他の町でも手に入りますか?」

「あ~、それがネックだよね。大きな町なら大丈夫だけど……イーファンみたいな小さな宿場町だと無理かなぁ」

「ここに来ればボルトは手に入りますか?」

「絶対とは言いにくいけど、一応は伝手(つて)があるから、多分ね」

「じゃあ、買います。ボルトもありったけ下さい」

「毎度~。でも、クロスボウだけで本当に大丈夫かい?」

「う~ん……それじゃ、杖はありますか? 長さは……百三十~百五十センチ、太さは二.五センチ、材質はできるだけ堅めの木で、できたら滑りにくい材質で」

「随分細かな注文だね……ちょっと待ってて」


 ナントさんは店の裏手に回ってごそごそと探していたが、やがて一本の杖を(たずさ)えて戻って来た。


「お待たせ。これでどうかな」


 太さは申し分ないけど、長さは大体百四十センチ。神道夢想流杖術の杖より長く、大東流合気柔術の杖よりも短い。どっちつかずだけど、まぁ、両方使えると考えるのが前向きだよね。堅さは問題ないようだし。


「充分です。これを下さい」


 他の装備と一緒に支払いを済ませる。所持金が一気に減って少しビビったが、ケインさんに言わせると、レア素材の代金として予定されている金額と比較すると問題にならないそうだ。ありがたい。買った装備を次々とアイテムバッグの中に収納していく。どう考えても入りそうにない大きさのものがバッグに入るのを見て、今更のようにゲームなんだと思う。杖だけは手に持っておこう。


「……随分さまになってるけど、杖術のスキルでもあるの?」

「いえ、さっきも言いましたけど、戦闘スキルは持ってません」


 ……そうだね。この人たちなら信用できそうだし、僕の事情を話しておこうか。そう思ったので、キャラクタークリエイトから始めて現在の状況までを説明しておく。


「……何と言うか……損なのか得なのか判らんスキルだな」

「キャラのつくり直しはしないの?」

「それも考えたんですけど、滅多にプレイできないキャラには違いないし、勿体ないかなって」

「まぁ、少年の事情は解った。我々もできるだけ力になろう」

「だね。もう手付け金を先払いしてもらったようなもんだし」

「エレミヤ……もう少し言い方を考えなさい」

「ま、俺たちゃ一蓮托生って(わけ)だ」

「折角のお得意様だし、不利になるような事はしないから安心して」


 ……やっぱりいい人たちだ。


「どうかよろしくお願いします」

次の更新は火曜日の予定です。

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