第四十九章 篠ノ目学園高校(金曜日) 2.昼休み
本日最後の更新になります。
昼休み、蒐一たち四人はいつものように屋上で弁当を使っていた。食事のお供は当然ながら、昨日公開されたSROの歴史である。
「や~……能く解んないけど、大事な事なんだよね?」
「茜ちゃん……運営さんたちも努力してるんだから、解ってあげようよ……」
「ポールシフトとは意外だったけど、顧みれば色々と納得はいくのよね」
茜の発言とそれに対する蒐一のコメントを華麗にスルーして、要がSROの歴史について発言する。
「色々って何だよ」
「掲示板を見てないの? ナンの町の遺跡探索クエストの話が出てたわよ?」
「はぁ? ナンの町の遺跡探索? そんなクエストあったか?」
「ワンタイムクエストだったみたいよ。クエストを受けたプレイヤーが内容を上げなかったから、今まで話題にならなかったみたい」
「そいつ、なぜ黙ってたんだ?」
「出土した遺物の碑文を解読したら、『北の都』って言葉が出てきたみたい。なので、この遺物は北から運び込まれたもので、現地産の遺物ではない、つまりは捏造だって結論づけたみたいなのよね」
「あ~……」
「それは無理もないかぁ……」
運営のトラップに引っ掛かったプレイヤーに、ご愁傷様と手を合わせる一同。掲示板ではきっと風当たりが強かった事だろう。
「でも、蒐君のクエストも似たようなものだったのよね?」
「あ、うん。シルの事だよね?」
「へ?」
「ねぇねぇカナちゃん、シルちゃんがどうかしたの?」
あ~……やっぱり……
「気付いてなかったみたいね」
不思議そうな匠と茜の二人に向けて説明する要。
「亀の幻獣と聞いて真っ先に思いつくのは……」
「はいっ! ○メラ!」
茜ちゃん……
「茜ちゃん、ガ○ラは幻獣じゃなくて怪獣だから、一応除外してね? それ以外だと『玄武』が有名よね?」
「あれ? ……『玄武』って四聖獣の一つだよな……あ、あ~……そういう事か……」
お、匠も気が付いたか。
「そう。『玄武』が守護する方位は北。なのに、南の筈のナンの町に封じられていたのが得心できなかったんだけど、今回の発表で納得がいったわ」
要の説明に納得した表情の二人。
「しっかし……運営も色々やってくんな」
「何でこんな設定にしたんだろうね?」
「核戦争みたいな全地球的な破壊を抜きにして、古代文明が崩壊した理由付けとしては卓抜だと思うけど?」
「うん……それはそうだけどさ、ここの運営がそんな簡単な理由で動くかな?」
蒐一の疑問を聞いて、そういえばと考え込む要。その解答をもたらしたのは、常に直観に従って行動する茜であった。
「ねぇねぇカナちゃん、これって、地図を読むのが大変なんじゃない?」
「「「あ!」」」
茜の指摘に虚を衝かれた体の三人。
「どっちが北か判らないと、地図の解読は無理だよね?」
「……いや、でも、古い地図だけ注意しとけば何とかならないか?」
「駄目ね。古い地図を新たに描き写したものかもしれないわ」
「年代測定だけには頼れないって事だよね」
「待て。そうすると、今後地図が出回る展開になるって事か?」
「う~……あたし、地図を読むの苦手だよ~」
四者四様のコメントが飛び交い……
「結局……何か他の目印が無いと判んねぇんじゃね?」
「……それってさぁ、予め目印になりそうなものを見つけてないと駄目な訳?」
「……国中を廻らせる気かよ」
「これが運営の狙いみたいね……」




