第四十五章 水汲みクエスト 7.微睡みの欠片亭
冒険者ギルドを後にしたシュウイは、そのまま定宿にしている「微睡みの欠片亭」に転がり込むと、夕食を摂った後で本日の総括に入った。
「う~んと……おぉ、言われたとおり、スキルと称号が増えてる。スキルレベルもかなり上がってるな……」
何しろモンスターハウスを、警戒スキルと隠密スキルの重ね掛けに物を言わせて迂回し回避し突破したのである。警戒系と隠密系のスキルは軒並みレベルが上がっている。更に、回避できないモンスターは、姿を隠したまま投石紐と吹き矢で始末したのだ。【狙撃(基礎)】【投擲】【飛礫】【暗器術 初級】なども悉くレベルが上がっている。
「うわぁ……モンスターハウスって、レベル上げに最適だよね……」
一人ほくそ笑むシュウイであったが、普通はモンスターハウスをレベリングのために使ったりはしない。警戒スキルと隠密スキルのレベリングなら猶更である。シュウイにはシルという保険があったから、割と気楽に突っ込んで行けたのだ。
「あとは……【霊水】ってどういうスキルなんだろう。……あれ? 【給水】が無くなって……あぁ、【霊水】に統合されたのか」
ヘルプを読んだ限りでは、【霊水】は【給水】の上位互換のようだ。【給水】で得られる水は単に水という物質でしかないが、【霊水】で生み出す水には『活力』が含まれているらしい。そういえば、バランド師匠も以前にそんな事を言っていたなと思い出すシュウイ。
「そうすると……錬金術や調薬に向いた水を取り出せるって事か。……このところ修行をサボってたからなぁ……。真面目にやれとの運営側からのお叱りかな?」
別にそう言う訳ではないのだが、ややきまり悪げな表情を浮かべつつ、ステータスの確認を続けるシュウイ。残っているのは「称号」である。
「え~と……祝福の称号は何かのクエストの資格になるのか……まぁ、明日にでも匠に聞けば判るだろ。ふぅん……それ以外にも、東の泉へ行くのがフリーパスになるのか……けど、【霊水】を貰っちゃったからなぁ……」
あまり行こうというモチベーションが湧いてこないなと独り言ち、謝罪の称号の方に目を遣る。
「こっちは特に特典は無しか。匠の言ってたネタ称号ってやつかな……いや? 精霊に対する場合、少しだけ交渉上の優位を得る事ができるのか……これって、商人なんかだと泣いて喜ぶ称号じゃないかな……」
地味に爆弾称号のような気がしたシュウイは、明日ナントの店に行って確認する事を決めた。場合によってはこれも秘匿案件の仲間入りだ。人前に晒せない特技ばかりが増えていく気がして、少し凹む。
「まぁ……今更なんだけどね……」
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★《シュウイのスキル/アーツ一覧》
レベル:種族レベル8+
スキル:【しゃっくり Lv2】【地味 Lv6】【迷子 Lv0】【腹話術 Lv2+】【解体 Lv8+】【落とし物 Lv9+】【べとべとさん Lv3】【虫の知らせ Lv8+】【嗅覚強化 Lv7+】【気配察知 Lv7+】【土転び Lv3+】【お座り Lv3】【掏摸 Lv0】【イカサマ破り Lv5】【反復横跳び Lv4】【日曜大工 Lv3】【通臂 Lv1+】【腋臭 Lv1】【デュエット Lv5】【般若心経 LvMax】【弓術(基礎) Lv5】【狙撃(基礎) Lv7】【投擲 Lv6】【器用貧乏 Lv5】【飛礫 Lv6】【擬態 Lv3】【ウェイトコントロール Lv3+】【隠蔽 Lv3】【疾駆 Lv3】【給水 Lv3 霊水に統合】【古道具屋 Lv1】【聴耳頭巾 Lv5】【大食い Lv0】【闇魔法の素地(オーク) Lv0】【木登り Lv3】【霊水 Lv2】
アーツ:【従魔術 使役術に統合】【召喚術(仮免許) 使役術に統合】【杖術(物理) 皆伝】【調薬(邪道) 初級(仮免許)】【錬金術(邪道) 初級(仮免許)】【火魔法(オーク) Lv3】【土魔法(ホビン) Lv3】【水魔法(ホビン) Lv0】【暗器術 初級 Lv2】【聖魔法 初級 Lv1】【死霊術(ネクロマンシー)(聖) Lv1 使役術に統合】【使役術 Lv1】
ユニークスキル:【スキルコレクター Lv7】
称号:『神に見込まれし者』『ホビンの友』『ツリーフェットの友』『霊魂の友』
『泉の精霊に祝福されし者』『泉の精霊の謝罪を受けし者』
従魔:シル(従魔術)