表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/877

第四十五章 水汲みクエスト 1.トンの町冒険者ギルド

 SRO(スロウ)にログインしたシュウイは、朝食を摂った後で冒険者ギルドへと向かう。昇級に必要な最後の依頼を受注するためである。



「よう、丁度好いところへ来たな」



 ギルドマスターがそう言うと、それまで彼と話し込んでいた人物がシュウイの方を振り向いた。



「む。なんじゃ、お主か」



 そこにいたのはシュウイの【調薬】の師匠、バランドであった。



(あ……(まず)い……。このところ【調薬】や【錬金術】のレベル上げがご無沙汰だった……)



 ――などと考えている事はおくびにも出さず、しれっと挨拶(あいさつ)するシュウイ。



「お早うございます、師匠」

「ふむ? 修行をサボっておったのがばれたか、と言いたそうな顔じゃな」

 げ、どうしてバレたんだろう?


「お主の考えておる事くらい判るわい」

「まぁまぁ、先生もそれくらいで。こぞ……シュウイにはこのところ色々と依頼を片付けてもらってましてね」

 うん。ギルマス、今、小僧って言おうとしたよね?


「ほう? それでは水汲みの依頼も?」

「えぇ、彼にやってもらう事に」

「ふむ。なら丁度好いな。(わし)の分もついでに頼む」

 え?


「……元々の依頼人は師匠じゃないんですよね?」

 錬金術師っていってたから、違うよね。


「うむ。(わし)の知り合いではあるがな」


 えぇと……確か最初の依頼だと……北のフィールドにある泉から水を十リットル汲んで来るって事だったよね。


「えと……師匠の分も十リットルですか?」

 アイテムバッグに入るかな? 中身を整理しておいた方が良いな。


「ん? ……まぁ、それくらいで良いじゃろ」

 それくらいって……五リットルの樽で合計四個になるんですけど……。


「おぉ、それと、どこから汲んで来るようになっておったかな?」

「あの……北の草原の奥にある泉からという事でした」



 ちらりとギルドマスターの方へ視線を向けると、黙って(うなず)いている。



「ふむ……ならば変更じゃ。東の草原の奥にある泉から汲んで来るように」

「え? 勝手に変えちゃって良いんですか?」

「構わん。北の泉としておったのは、引き受けてくれる冒険者を増やすために、簡単な場所にしただけじゃからな。お主なら東の泉でも問題無いじゃろう。ナントから色々と武勇伝を聞いておるぞ?」


 ナントさん……秘密にしてくれるように言ったのに。……師匠に問い詰められたら隠しきれなかったんだろうな。けど……東のフィールドを突破するのはともかく、師匠の分もとなるとアイテムバッグの容量が心細いんだけど……


「うむ。じゃろうと思って(わし)のアイテムバッグを持って来た」

 師匠……手回しが良過ぎます。泉の場所はともかく、水汲みの方は上乗せで発注する気でしたね。


「おぉ、そうじゃ。この手形を持って行くと良い。少しは役に立つじゃろう」

 通行手形みたいだけど……詳しい説明は無しですか?



「……それでは行って参ります」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ