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第五章 市内(日曜日) 1.とある喫茶店

先ほどランキングを確認したら、日間VRゲームで何と1位になっておりました。良い思い出になりそうです。


今回はリアルサイドの話です。

 僕と(たくみ)(あかね)ちゃんの三人は、誘い合わせて見に来た映画の上映時間を待つ間に、喫茶店で軽食とSRO(スロウ)の話を楽しんでいた。本当はもう一人幼なじみの女の子がいるんだけど、委員会の用事があって来れないと連絡があったみたいだ。大変だよね。


「はぁっ!? 身ぐるみ剥いで死に戻らせた……って、どういう事だよ!?」

「あれ? 死に戻りってそうじゃないの?」

「んな(わけ)あるかよ。SRO(スロウ)のデスペナは、一時的なステータスの半減、所持金の三割没収、未収納アイテムの没収、の三つだぞ」

「さすがに所持金と所持アイテムの全没収というのは過酷だからね」

「あれ? じゃあ、PK限定の制裁措置?」

「……可能性が無い(わけ)じゃないが……」

「素直に(しゅう)君のせいだと認めたら?」

「何でだよ!? 山賊なんてスキル、持ってないよ!」

「いや……【落とし物】のせいじゃないのか?」

「それを言うなら【解体】だって怪しいよね」



 事実は【落とし物】と【解体】の相乗効果である。



「ま、(しゅう)が原因なのは確定した(わけ)だが……」

「いつ確定したのさ!?」

「問題は、運営がこれをどう考えているかだな」

「どういう事? (たくみ)君」

「いや、バランスブレイカー過ぎるだろ、どう考えても」

「う~ん、でもそれって、(しゅう)君だったからじゃないかな?」

「どういう意味さ!?」

「あ~……確かに普通のプレイヤーなら……」

「僕は普通だよ!」

(あかね)~、『(ほほ)()みの悪魔』が何か言ってるぞ?」

「?※#¥ッ!?*っ♭っ!$&!§?仝@!ッ!!」

「はいはい、落ち着いてね、(しゅう)君」

「ま、とにかく普通のプレイヤーなら、PK三人をパーソナルスキルだけで瞬殺なんかしないだろうから、運営側の想定を外したって事はあるな」

「……運営の想定って何さ?」

「お、復活したな。多分、ユニークスキルのデメリットで序盤にもたつくのを、ステータスアップで相殺しようとしたんじゃないかな。少なくとも序盤からここまでカッ飛ばすとは想定してなかったと思う」

「……ねぇ、(たくみ)君、運営はなぜこんなスキルを創ったのかな?」

「あの運営だし、面白半分じゃないか……って思えるんだが、残り半分はネタキャラというか……」

「ネタキャラ!?」

「あ~、いや、言い方が悪かった。トリックスターとでも言えばいいのかな。多分、運営側が設定したストーリー展開を引っかき回して、新しい流れを創る事を期待してるんじゃないかと思うんだが」



 「トリックスター」について運営側は一切の情報を公表していないが、奇しくも(たくみ)は運営側の意図をほぼ完全に言い当てていた。



「そっか。(しゅう)君にぴったりの役割だね」

「……どういう意味かな、(あかね)ちゃん」

「ま、SRO(スロウ)の運営だからな。定番どおりの事はやってこないだろ」

「βの時も酷かったよね~……」

「……どういう事?」

「あ~、βテストの時な、レイドイベントのボスが他の町に逃げ出す事があったんだよ」

「え? イベントボスってそうなの?」

「普通は違うな」

「危険が迫ったら逃げるのが普通って、後になって説明があったけど……」

「ボスが逃げ出したのに、イベントが終わらないからおかしいとは思ってたんだが……」

「プレイヤーが総出でイベントにかかってたから、逃げた先の町に誰もいなくって……」

「その町が壊滅してイベント失敗」

「掲示板、荒れたよね~」

「それは……何と言うか……」

「でもまぁ、そんな運営だし」

「このゲーム自由度が高そうだしな。ある程度の予想外は予想のうちなんだろうさ」

「じゃぁ、僕、今のままでいいのかな?」

「ま、やらかし過ぎたら運営が何か言ってくると思うぞ」

「もっとやれ、とか?」

「あの運営なら、(あかね)の言う展開もあり得るな」


 そうなの!?


「あ、そろそろ行った方がいいんじゃない」

「おう。続きは映画の後にしようぜ」

本日はあと一話投稿します。


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― 新着の感想 ―
まぁ、被害者クレームぐらいは甘んじて受けるだろ運営
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