第三十三章 篠ノ目学園高校(土曜日) 1.昼休み
土曜日の昼休み――他の学校にはまず無いだろうその休憩時間に、僕たち四人は屋上に集まってお弁当を食べていた。土曜日の三時間目と四時間目の間に昼休みがあるなんて、この学校だけだよね。
「んで、相変わらず蒐は秘密クエストか?」
「昨日の今日でそう簡単に終わったりしないよ。そんなにすぐに終わるんなら、そもそも秘密にする必要なんか無いじゃん?」
「まぁ……そう言われればそうか……」
「匠の方はどうなのさ? 何か変わった事とか無かったの?」
「あぁ、昨日の話に出てきたNPCとの交流ってやつ? 試してみてるんだが、いや~、思った以上に多いのな」
「へぇ?」
「まず事前調査という事で、手分けして掲示板を探してみたんだけどな、俺が夕べチェックしただけで、クエストらしいのが五件、クエストじゃないっぽいけど有益な情報を貰ったっていうのが七件はあったな」
「それだけで十二件かぁ……」
「あ、でもさ、改めて全部をなぞる必要はあるのかな? 誰かプレイヤーがクリアしさえすればいいんじゃないの?」
「茜ちゃん、もしそうなら、とっくにシアの町へのルートは開かれている筈よ?」
「要ちゃんの言うとおり、どれだけの数のプレイヤーが住民の皆さんと交流したかが鍵じゃないのかな……多分だけど。問題なのは、解放の鍵になっているのがプレイヤーの数なのか住民の数なのか、そして実数なのか延べ人数なのかが判らない事だよね」
「……つまり何か? 蒐、たとえば俺が何人ものNPCと関わっても、プレイヤーの数は一人とカウントされる可能性もあるって事か?」
「うん。異邦人と住民、どっちの数が鍵になるのかは判らないじゃん?」
僕がそう言うと、匠はぐったりとした感じで俯いた。
「そりゃあ無いぜ、蒐……俺、昨日一日、どんだけチビどもの相手をしたのか……」
「子供たち?」
「あぁ、ナンの町の孤児院クエストね」
「要ちゃんは知ってるの?」
「えぇ。ナンの町には孤児院があってね、そこの子供たちの相手をするっていうクエストよ。教会から加護が貰えるから、受けるプレイヤーは多いわよ?」
へぇ……そんなクエストがあるんだ……
「まぁまぁ匠君、交流したNPCさんの人数が鍵っていう可能性も同じくらいあるんだし」
「あ……可能性って言えば、人数じゃなくてクエストの件数かもしれないよね。それだったら、何人のちびっ子と遊んでも一件になるのかな?」
そう言ったら、匠のやつは再度ぐったりとした感じで突っ伏した。
「ほらほら蒐君、匠君を虐めちゃ駄目じゃない」
「これはもう蒐君が匠君に奢る流れよね♪」
何でさ!?
「奢りなら、俺は『モンド』の大盛りカレーな」
おい匠、なんでこのタイミングで復活するんだよ?
「「じゃあ、放課後は久しぶりに『モンド』ね~」」
ねぇ……また僕の奢りなの……? ねぇってばぁ……。