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第十話 6
話は、十九年前から現在に戻る。
「えー、お父ちゃんとお母ちゃんの出逢いって、それがきっかけだったの? 全然ロマンティックじゃないじゃん」
僕が作った食後のデザートのパンナコッタを食べながら澪が言った。
「でしょう? でも、なんだかとっても可哀想でほっとけなかったのよ。だからね、お弁当を作って持って行ってあげてたの」
「ふーん」
「私は自宅から学校に通ってたし、貧乏じゃなかったからね」
「食いもんで男を釣ったんだ」
「こら! 子供のくせに下品なことを言うんじゃない!」
僕が澪にそう言ったら、佐都子はなんだか嬉しそうだった。
「でもね、それだけじゃなかったのよ。お父ちゃんはとっても良い人だったからなのよ」
「どんなところが?」
「うーん、一言で言えないな……。とにかく良い人だったのは間違いない」
「ちゃんと説明してよ。私に分かるように!」
「まぁ、またそれは今度説明するわ」
そう言って、佐都子ははぐらかした。




