第七話 6
「それで? それでちゃんと二人には分かって貰えたの?」
夕飯を終えて、子供たちが子供部屋に入って行った後、光を膝の上に載せて、食卓の向こう側に座っている佐都子が僕に言った。光は今日も好物のリンゴをもらって、夢中になってかじっていた。
「うん、分かって貰えたと思うよ」
「なんだか、一樹って探偵みたいだね」
「そう? 誰でもすぐに分かると思うけど」
「浩輔くんと健太郎くんって同じマンションに住んでるんだよね?」
「らしいね。だからピンと来たんだよ。だって、前から澪が言ってただろう? 仲が良さそうに見えるけど、健太郎くんがいっつも浩輔くんに嫌がらせをしてたって」
「あー、そう言えばそんなことを言ってたね。どんどん苛めがエスカレートしていったから、先生に告げ口してやったって、澪が言ってたことがあったっけ?」
「うん。だから、浩輔くんがリサちゃんの良からぬ噂を聞いて、それに便乗して日頃の鬱憤を健太郎くんにはらしたんじゃないかと思ったのさ」
「そっか! 一樹って頭いいね!」
「今頃分かったか」
「うん、今頃分かった」
「でもさ、浩輔くんもいつも人の悪口を広めてると澪が言ってただろう?」
「うん」
「彼が苛められてたのもそういうのが原因だったのかもね」
「そうだね」
「だからさ、思うんだけどさ、子供って、していいことと悪いことの判断がつかないことってあるじゃん。それを大人が躾けりゃいいだけだと思う」
「まー、そうだね。特に男の子なんて、考えるより先に暴れてる子も多いしね」
「力が余ってるのさ」
「力が余ってるんだったら、鍬で畑でも耕しに行けばいいのに。そしたら、農家に喜ばれるよ」
「わっはっはっは。ほんとに!」
「でも一樹も子供の頃はそうだったんでしょ?」
「当たり前じゃん!」
「だよねー。うちの悪ガキ三人組は一樹にそっくりだもんね」
そう言って、その日の夜、二人で笑いながら話していたのだった。
この学校での話し合いの後、クラスの盗難事件は一件落着したようだった。浩輔くんと健太郎くんと先生は、保護者抜きで三者会談をしたらしく、子供二人に、相手に言いたいことを言わせて、お互いのことを反省させたそうである。
親は当然そうあるべきだが、学校の先生は、いつでもどんなときでも、依怙贔屓をせず、常に公明正大で、悪いことをしたら「こらーっ!」と叱り、良いことをしたら頭を撫でて盛大に「よくやった!」と褒めれば、それでいいのだ。そうやって、子供は大人から学んでいくものだ。




