表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東京の空の下で  作者: 早瀬 薫
64/113

第七話 4

 そしてまた次の日の夕飯が終わってから、澪がまた僕たちに言った。


「あのね、今日学校でね、どこで知ったのか分からないけど、クラスのみんながリサの万引きの件を知ってて、リサがみんなにシカトされてた」

「ええっ!?」

「多分、浩輔の仕業だと思う。だって、アイツ、いっつも人の話を盗み聞ぎして、みんなに言いふらしてるもん。今、職員室の掃除当番をやってるから、掃除してるときに先生の話を聞いたんだと思う」

「え……」

 僕が言葉に詰まって何も言えずにいると佐都子が言った。

「そんな奴、ぶっ飛ばしてやればいいじゃん!」

「うん。だからぶっ飛ばしておいた」

 僕は開いた口が塞がらなかったが、この二人は超頼もしいというか、危なっかしいというか、佐都子も澪もおっとりしているかと思ったら、突然驚くような暴力的なことを口走り、しかもいつも意見がぴったりと合う。つくづく親子だねぇと思って聞いていた。


 そしてまたまた次の日の夕飯が終わって、また三人で同じような会話をしていた。


「今日ね、クラスで盗みがあったの」

「はぁっ!?」

「それでね、みんなで寄ってたかってリサのせいにしたから、私は一人ずつ締め上げたの」

「……」

 さすがに二回も同じことを聞かされると、今日は一言も言葉が出なかった。

「だってね、健太郎が『俺の財布の中の金が無くなった』と言ってたけど、リサが人のお金なんか盗むと思う? リサはお金なんか盗まなくたっていっぱい持ってるし、人に嫌がらせするような子じゃないんだよ。この間の漫画は捕まるために盗んだのよ」

「わざと盗んだの?」と僕が訊くと佐都子は「そうだろうね」と言った。そして「お祖母ちゃんを困らせてやろうと思ってしたんでしょ?」とも言った。

「うん。私も多分そうなんじゃないかと思う」

「それで、クラスの騒動はおさまったの?」

「分かんない。今日のところはおとなしくみんな帰ったけど……」

「はぁー、明日、何も起こらなければいいね……」

と僕はげっそりしながら言ったのだった。


 そして、またまたまた次の日、またもや澪がびっくりするようなことを言った。


「今日、また学校で健太郎のお金が無くなったんだけど、今度は私のせいにされた」

「……」

「でもね、私が盗むわけないから、その場で鞄をひっくりかえして、鞄と机の中の物を全部床の上にぶちまけてやった」

「……」

「出てくるわけないよね。だって、学校に自分のお金を持って行けないくらい貧乏なんだもん」

「……」

「だけど、その後、やっぱりリサが疑われてた」

「……」


 そして、またまたまたまた次の日、澪が言った。


「今日……」

「ちょっと待って!」

 僕は、思わず澪の言葉を止めて先に口を出した。

「今日また健太郎くんのお金が盗まれたの?」

「うん」

「それで、また、澪とリサちゃんが疑われたの?」

「うん」

「あのな、お父ちゃん、明日仕事が休みだから、学校へ行って先生に話をしてくる」

「え? マジで?」

「マジ! 担任の先生はこのことを何も知らないんだろ?」

「う、うん……」

「人の物を盗むなんて、これはれっきとした犯罪だ。大人だったら、監獄行きなんだよ。そのくらい罪は重いってことを子供らに分からせなきゃ」

「私もそう思う。先生だって、本当のことを知っておかなきゃいけないと思うし」

 佐都子がそう言った。


 ということで、次の日の授業が終わった午後三時半頃、学校に電話を掛け、担任の森本先生と午後四時半から話をすることになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ