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東京の空の下で  作者: 早瀬 薫
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第七話 1

 澪には小学一年生のときから、ずっと同じクラスの仲良しの友達、リサちゃんがいる。いや、本当は保育園時代からずっと一緒だから、かれこれ八年の付き合いになるんじゃないかと思う。子供なのに八年も付き合っているなんて、本当に長い付き合いだと思うが、リサちゃんと縁があるのか、クラス変えをしてもなんでだかいつも同じクラスになった。


 リサちゃんは隣町に住んでいて、リサちゃんのお父さんは、外務省に勤める外交官だった。が、それは過去の話で、リサちゃんのお父さんは、自分からリストラして、家で飲んだくれてアル中になって、肝硬変になって亡くなってしまった。一方リサちゃんのお母さんは、お父さんがモスクワの大使館に勤めていたときまでは、一緒に暮らしていたそうだが、その後日本に帰国してすぐに離婚して、それ以来音信不通になっているらしい。しかもリサちゃんは一人っ子で兄弟もいない。


 リサちゃんの家は、隣町だからうちの近くではあるが、うちの横の道を真っ直ぐ西に坂を上ったところにあって、明治の文豪の家の跡地があるような高級住宅地にあった。だから、多分財産はいっぱいあるだろうし、苦労だってしてなさそうで外から見れば幸せそうに見えるのに、リサちゃんは、不幸を絵に描いたような境遇にあった。


 そんな山手っ子のリサちゃんと下町っ子の澪とがなんで仲が良いのか不思議なのたが、まぁ、家柄なんて、子供にとっては大して重要なことじゃなくて、友達になる条件として、気が合うか合わないかが最重要項目なんだろうなと思う。


 あ、そうそう、忘れていたけど、リサちゃんのお祖母ちゃんは、澪のお祖母ちゃん、つまり佐都子の母と幼馴染で仲良しだったと佐都子が言っていた。だから、そういうこともあって、澪とリサちゃんが仲が良くなったんだと思う。でも、残念なことに、うちのお祖母ちゃんは四年前に病気で亡くなってしまってはいるけれど……。


 だから、佐都子はリサちゃんのお父さんと幼馴染と言えば幼馴染なんだろうが、リサちゃんのお父さんは、佐都子と違って幼稚園から大学まで一気に繋がっている私立の学校に通っていたので、接点がほとんどなかったそうである。そのお父さんの自分の学歴というか生き方に対する後悔があったのかどうなのか分からないが、お父さんは亡くなる前にちゃんと遺書を書いていて、その遺言書には「リサを小学校から高校まで公立の学校に通わせてほしい」とあったらしい。だから、リサちゃんと澪は今のところずっと同じ学校に通っているわけである。


 けれども、佐都子が言うには、「母とおばさんは仲が良かったのかもしれないけど、私はあそこのおばさんも息子もあんまり好きじゃなかったの。だって、私のことをいつも出来の悪い胡散臭いものでも見るような目つきで見てたんだもの」だった。僕はそれを聞いて、思わず吹き出してしまったのだが……。



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