第六話 7
しかし、それで三バカ息子の上野公園行脚が終了したわけではなく、暫くの間、学校から帰ってくると輝と黎は店からパンを貰って、飛ぶように上野公園に遊びに行った。
でも、僕もオジサンのその話を聞いてから、パンだけじゃ栄養失調で倒れるだろうということで、ちゃんと肉を挟んだハンバーガーを作って二人に持たせてやった。結局、自分は大人にはなったけれど、心は輝や黎と同じく少年のままで、彼らの冒険を楽しんでいたのかもしれない。
しかし、上野公園の浮浪者は、ずっと動かないので寝ているのかと思っていたら、本当に死んでいたという冗談のようで冗談ではない話も聞くので、僕はオジサンのことを心配していた。何故なら、今は秋で、もうすぐ厳しい冬がすぐそこまでやってきていたからだった。その心配は佐都子も感じていたようで、今日はベビーカーに光と毛布を積んで上野公園に行って来たと言っていた。毛布はオジサンにあげるためだった。
「上野公園のオジサン、元気だった?」
みんなが寝静まった後、いつものように、佐都子と二人で話していた。
「うん、元気だったよ」
「ねぇ、佐都子って、オジサンも気になるんだろうけど、猫が触りたいから行ってるんでしょ?」
「あ、ばれた?」
「うん、ばれてた」
「猫を家の中で飼ってみたいんだけど、子供が多すぎだから諦めてるの」
「まぁ、うちの家自体が動物園みたいだしね」
「うまいこと言うね」
そう言って二人で笑った。
「毛布はオジサンに喜んでもらえた?」
「うん、でもね、オジサン、逃げるのを止めて、ちゃんと更生施設に入って仕事に就いて、お金が溜まったら青森に帰るって。だから、もうすぐここからいなくなるから、毛布は仲間にあげるって言ってた」
「そうなんだ……。でも、良かった。そのほうがいいよ。だって、冬に外で寝るなんて辛すぎでしょ」
「うん、毎年どんどん辛くなるって言ってた」
「あ、今思いついたんだけど、施設に入るんだったら、その前に一回うちにオジサンを招待しようか? だって、うちのハンバーガー、すごく気に入ってると言ってくれてたみたいだし」
「そうだね。いい考えだね。みんなも喜ぶよね」
「じゃあ、早速三人に相談してみよう」




