第五話 9
六日後、その日はやって来た。朝六時に集合し、みんなで作り始めた。もちろん、通常の営業もしながらの作業なので、大変と言えば大変だったが、今日は幸い土曜日なので、モーニングを食べに来る客が少なかった。だから、さして作業に支障はなかった。
水元君も手際よく指図していたし、みんなも連携して、滞っているところは自発的に手伝ったりしたので、出来上がり予定時間を三十分も繰り上げることが出来た。全部出来上がったときに、思わずみんなで「お疲れさま!」と握手をしあって喜んだ。
僕は商品を一つ一つ丁寧に、発泡スチロールの箱に入れた。その箱を車に積み込むと、澪を乗せて真緒ちゃんのお姉ちゃんの高校に向かって走らせた。この間の店舗検査の失敗はなんだったんだろう?というくらいに、万事が万事うまくいき、李君も他の従業員も水元君を見直していた。
車を飛ばして高校の正門に着くと、澪に真緒ちゃんのお姉ちゃんを捜して来てもらった。そして、学園祭の実行委員のみんなとハンバーガーを調理実習の教室に運んだ。その教室は中庭に面した一階にあって、ハンバーガーの注文が入ると、電子レンジで温めて客に出すようにするらしい。僕も「そのほうがいいよ。やっぱり温かいほうがおいしいからね」と実行委員の彼女たちに言った。
「本当に、こんなにたくさんのハンバーガーをありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそご注文くださってありがとうございました」
そんな挨拶を交わして、真緒ちゃんのお姉ちゃんから代金を貰い、領収書を切ろうとして、お金を数えたら、なんだかおかしかった。どう数えても、代金の三分の一が足りない。
「あれ? 申し訳ないけど、料金がおかしくないですか?」
「え? そうですか? ちゃんと数えて封筒に入れたんだけどな……」
「ハンバーガー百五十個とチーズバーガー百五十個ですよね?」
「え? 違いますよ。ハンバーガー百個とチーズバーガー百個に変わったんですけど……」
「ええっ!?」
「一週間前にお店に電話して、百五十個じゃなくて百個ずつにしてくださいと言ったら、男の人が出て来て『分かりました』って言ってくれたんですよ」
「何時頃、掛けてくれたんですか?」
「三時頃です」
「電話に出た店員の名前を覚えていますか?」
「あー、えーと、確かミズモトとおっしゃってました」
「ええ~……」
僕はそれを聞いて落胆した。一週間前と言えば、店舗検査で水元君が史上稀に見る最悪の点数を取って、落ち込んでいたときだった。今日は、朝からすべてうまくいって、みんなで喜んでいたのに! 利益も史上最高額になるはずだったのに! これじゃあ、汗水働いても儲かるどころかチャラでもなくて損害を被ったじゃないか!
僕は泣く泣くハンバーガー五十個とチーズバーガー五十個を引き取って、澪と一緒に帰宅した。しかし、このハンバーガーをどうすりゃいいのさ。店頭販売でもしようか……。




