表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東京の空の下で  作者: 早瀬 薫
49/113

第五話 8

 次の日、美津子おばちゃんが珍しく遅番になっていて、水元君を慰めていた。


「別に殺されるわけじゃないんだから、そんなことで落ち込むことないわよ。この世の中にはね、明日をも知れない命の人や、満足にご飯が食べられなくて飢えている人や、仕事がない人や、住む所がない人や、虐待を受けてる人や、知らない間に感染病になってる人や、交通事故や病気で手足がなくなったり、歩けなくなったり、家族と生き別れになったりしている人もいるのよ。水元君の場合は、悪いところを直せばいいだけじゃない。李君は確かにきついよ。でも、意地が悪いわけじゃないじゃない? もうちょっと、二人で話し合いをするなり、直すところは直していけばいいだけじゃないの? ね、店長?」

「あ、うん、そうだよ。李君は正直なだけだよ」

 僕がそう言ったら、水元君が顔をしかめたので、あ、やばい、と思ったが、少しは彼も反省すべきだと思ったので、僕も敢えて訂正はしなかった。でも、それはそうと、あと六日後に迫った学園祭の件を水元君に任せていいのか、正直なところ僕は迷っていた。


「でも、水元君」

「はい」

「学園祭の件はどうする? 無理だったら僕がやるよ」

「い、いえ、大丈夫です」

「ほんとに?」

「僕にやらせて下さい。お願いします!」

 そう言って、水元君はずっと頭を下げているので、僕は「分かった。じゃあ、お願いするよ」と言った。


 それでもやっぱり、少しは僕も手伝ったほうがいいと思ったので、水元君と念入りに打ち合わせをした。何人で何を担当するのか細かく決めていった。

 まず、パンと肉を焼く人二名は水元君、香苗さん。パンに野菜やチーズを載せる人三名、美津子おばちゃん、真知子さん、花園さん。最後にソースを載せて紙に包む人三名、李君、武智さん、僕。

 無理を言って早朝から来て働いてもらうのだからと、その日の昼食はうちの会社持ちで、仕出し弁当を頼むことにした。そのメニューも水元君に決めてもらい手配も頼んだ。パンや肉や野菜やソースの発注も確認したが、そちらのほうはすでにきっちりと手配済みになっていた。

 心配なのは当日、スムーズに仕事が運ぶかどうかだけだった。でも、やってみてだめだったらすぐに変えればいいことだし、その辺は臨機応変にやろうということになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ