第五話 2
うちのシフトはどうなっているかというと、午前七時から午後四時までが一人、午前十一時から午後八時が一人、午後十時から朝の八時まで途中休憩を挟みながら一晩中かけての店内の掃除とメンテナンスに一人が常駐していて、昼飯時は四人体制、夕飯時は三人体制にして、夕飯後から午前零時までは二人体制になるように、みんなの出勤できる時間を調整してやり繰りしていた。
ということで、朝昼の勤務は、美津子おばちゃん、香苗さん、真知子さん、あと大学生の花園さん、武智さん、藤田さん、山崎さん、夜の勤務は水元君、玲子さん、李君、劉君、周さん、深夜のメンテナンスは王さんで回していた。
人が入れ代わり立ち代わりで働いているので、毎日同じ人と一緒に働くわけではないから、みんなの意思疎通を図るために、店の事務所には「連絡ノート」という多人数で読み書きが自由にできる交換日記みたいなものを置いていた。店長の僕は、そのノートを読めば、みんなの様子がよく分かって重宝していた。クレームが来たときは、必ず書き込む様にしてもらってはいるのだが、店の業務に関しても、こんな不都合があるとか、こんなところが良かったとかも書いてくれるので、非常に助かる。
また、美津子おばちゃんや香苗さんなど、長年勤めてくれている人が、新人を褒める言葉を書いてくれたりするのも非常にありがたかった。人間、褒められればやる気が出るものである。僕は、一応、オーナーではあるけれど、会社というのは一人でなんとかできるというものではなく、みんなで助け合って成り立っているのだということを度々痛感していた。
ところで、新店舗の予定地だが、やはり駅前が集客しやすいということで、五カ所くらいを候補にいろいろ検討していた。しかし、新店舗を開くにあたって、一つだけどうしても越えねばならない関門が迫って来ていた。一年に一回本社が行っている全店舗検査だった。その検査に合格しないと新しい店舗を開くどころか、今の店舗も営業停止になってしまう恐れがあった。とにかく、この検査はオーナーの僕にとっても従業員にとっても、一年に一回の空恐ろしい行事なのである。
例年ならばその検査に備えて、僕が率先してみんなを指導していたのだが、水元君が次の新店舗の店長候補ということで、今回の検査の対策を彼に任せることにしようと思っていた。僕がその旨を水元君に伝えると、彼も緊張しながらも「はい、分かりました!」と元気よく引き受けてくれたのだった。




