第四話 3
小学校低学年の授業が終わる時間になって、輝が一番最初に帰宅したのだが、輝に「黎も帰って来てた?」と訊いてみたら「うん、友達と下校してたよ」と言っていたので安心していたら、輝が「あ、でもね、途中でパジャマを着てウロウロしているおじいちゃんに捕まってた」と言った。
「はあっ!? パジャマを着てるって、外でっ!?」
「うん」
「真っ昼間からっ?」
「うん」
「誰?」
「あ、えーとね、多分、鈴木のおじいちゃん」
「うちにいつも食べに来てくれてるおじいちゃん?」
「うーん……そうだと思うけど、よく分かんないよ。自分で確かめに行ったら?」
「えー……、輝、頼むよ……」
「だめ、真司が遊びに来るから」
「またかよ」
「悪いっ?」
「うっ、……悪くない、悪くない」
「今日のおやつは?」
「チーズケーキ……」
「やったー」
輝はそう言うと、ドタバタと二階に駆け上がって行った。もう、しようがないな。でも、どうしよう? ほっといても大丈夫かなと思って後ろを振り返ったら、真知子さんと花園さんが僕に向かってニコニコしながらバイバイと手を振ってくれてたので、僕は二人に深々とお辞儀しながら「毎回すみません。行ってきます……」と静かに店を後にしたのだった。
しかし、鈴木のおじいちゃんが真っ昼間からパジャマを着て外をうろついているなんて、一体何が起こったんだろう? もしかして、持病の糖尿病が悪化して、それで慌てて家を飛び出したんだろうか? いや待てよ、輝は、鈴木のおじいちゃんかどうだか分からないと言っていたから、もしかしたら別人かもしれないし……。とにかく、昼間からパジャマを着て外をうろついている時点で異常事態なわけだから、早く黎を見つけて連れ戻さなければと思っていた。




