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第三話 10
次の日の午後、シフトは美津子おばちゃんと崔さんと僕になっていた。美津子おばちゃんは崔さんに昨日の顛末を聞かされたみたいで、ずっと興奮していた。僕は、その興奮ぶりにびっくりしていたのだが、もっとびっくりしたのが美津子おばちゃんよりも崔さんが興奮していたことだった。
「ねー、店長、池上さん、男らしくてすごくかっこ良かったですよね!」
「う、うん」
「あんなにはっきり意見してる男の人を初めて見ました」
「そ、そうなの?」
「ええ」
「確かに、日本人の男性って大人しい人が多いような……」
「そうなんです。だから、私も少しびっくりしました」
「そうなんだ……」
その次の日もそのまた次の日もそのことが話題になっていて、香苗さんとシフトが一緒になったので、崔さんは池上君のことをどう思っているのか訊いてみた。
「それがねー、店長! この間と打って変わって、崔さん、池上君にベタ惚れになってますよ」
「そうなんだ!」
僕がそう言うと、香苗さんはうんうんと笑顔で首を縦に振った。




