第三話 4
「ねぇねぇ、佐都子」
「なに?」
子供たちが寝静まった夜に、佐都子と二人で、スーパーで九八〇円で買った赤ワインを飲みながら雑談していた。
「佐都子の友達でも知り合いでもいいんだけど、結婚したいけどしてない人っている?」
「うーん……」
と言いながら佐都子は考え込んでいたが、「いない」と一言言った。
「なになに? なんでそんなことを訊くの? 誰かに紹介しようとしてるの?」
「うん」
「あ、分かった! 池上君!」
「正解!」
「あー、でも、彼はちょっとね……」
「ちょっとね、ってなんだよ。なんか失礼な言い方だね」
「だって、背も低いし顔もイマイチだし収入もね……」
「ちょっと! 収入のことは言わないでくれる? 自分が責められてるみたいだから」
「あ、そっか」
「お店をもう一軒持てたら、彼に店長をしてもらおうと思ってるんだから、店長になったら彼の給料も自然と上がるよ」
「そうだね」
「彼ももう三十三歳だからね、なんとかしてあげたいんだよ」
「あ、でもね、私も歳を取ってくるとね、いろいろ思うことがあるんだ」
「何を?」
「やっぱ男は顔じゃないよねって」
「それ、俺への皮肉?」
「わー、厚かましい! 自分がハンサムだと思ってるんだ」
「……」
「最近、髪の毛も薄くなってきたし、お腹も出てるよ」
「はーい、おっしゃる通りで!」
「でもね、この間、友達と女子会をしてたらね、みんな言ってたよ。やっぱり、三高なんてどうでもよくて、優しい常識のある人に最後は落ち着くよねって」
「なー、そうだろ? 池上君はそういう人間じゃん」
「うん。だから、彼は結婚したらいい旦那さんになると思うな」
「でしょー?」




