第二話 8
二人で通りを走りまくって、ポストに着いたので、この間と同じように右に曲がった。右に曲がって、ふと思った。あれ? この道で良かったんだっけ?
「爾、この道でいいの?」
「知らない」
「えーっ」
せっかくここまで来たのに、僕たち二人は走りまくって、また家に舞い戻った。二階に駆け上がって玄関ドアを開け、「お母ちゃーん、三好さんの家の住所を教えて!」と叫んだら、「ちょっと待ってー」とトイレから声が聞こえ、「早くしろー」と言うと、「早くできないー」と答えが返って来て、ようやく佐都子がトイレから出て来て、騒ぎまくっている輝と黎を掻き分け、メモ帳を抽斗の中から取り出すと、住所を教えてくれた。
「光を背負ってトイレに入ってるの?」
「うん」
「えーっ、知らなかった」
「今頃知ったの?」
「うん」
「だって、背中から降ろすと泣くもん」
「あ、そうか」
お母さんは大変だなとつくづく思った。
「また、携帯を持って出るのを忘れたの?」
「あっ!」
「な、なに?」
「携帯を持って出たことを忘れてた!」
僕がそう言うと、佐都子は目を細めて思いっきり軽蔑した顔で僕のことを見た。
さて、仕切り直しとばかりに「よっしゃ! 行くぞ!」と爾と二人でまた通りを走ってポストに着いたので立ち止まると、佐都子から貰ったメモと地図を確かめた。やっぱりこの道で良かったんだと思って、右に曲がったら、爾が転んだ。爾は「痛いよー」とまた声を上げて泣き出した。しょうがないので、爾をおんぶして走ることにした。ぜぇぜぇ言いながら、着いたその家は、どんどん狭くなっていく道をこれでもかとばかりに真っ直ぐ行ったその先にある、この間見たばかりの例の行き止まりの家だった。表札を確かめるとやっぱり「三好」とあった。爾って結構記憶力がいいよねと感心したのだった。




