表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東京の空の下で  作者: 早瀬 薫
16/113

第二話 6

 それはそうと、早く届けないと、作ったハンバーガーが冷めきってしまう。僕は次第に焦り始めた。


「ねぇ、爾、お昼にお店の外で火傷のおばちゃんを見かけたことがあるの?」

「うん。瀬里奈ちゃんのところへ遊びに行くときに見た」

「ふーん。じゃあ、瀬里奈ちゃんちの近くなんだね」

「うん」

「でも、瀬里奈ちゃんちってたしか、通りの反対側じゃなかった?」

「あ」

「お母ちゃんが『瀬里奈ちゃんちは通りの向こう側だから、危ないからちゃんと横断歩道を渡りなさい』、っていつもうるさく言ってなかった?」

「そうだね」

「違う子の家じゃないの?」

「うーん、そうかもしれない」

「こっちって、啓太君の家じゃなかった?」

「そうだった……」


 二人でそんなことを話しながら、十字路に来たので、僕は「まだ、真っ直ぐでいいの?」と爾に訊いたら彼は「うん」と答えた。それでどんどん進んでいったら、道がどんどん狭くなってお終いには無くなり、家に突き当たってしまった。僕は「ほんとにこっち?」と訊いたら、爾は「うーん、わかんない」と答えた。


 えーっ、マジで? そう思ったが、保育園児に期待するほうが間違ってたかと思って、「分かった。もう帰ろう」と言って、二人ですごすごと家へ帰った。仕方がないので、このハンバーガーは僕の夕飯だなと思って残り十分の休憩時間に、押し込むようにして台所で食べていたら、風呂から上がった佐都子が「あれ~、夕飯、ちゃんと作ったのに! しかも一樹の好きなミートローフ!」と言った。


「もう、早く言ってよ……」

「だって出掛けてたじゃん。帰ってきたら、すぐにあっためてあげようと思って、電子レンジの中にもうセットしてあったのよ」

「ふーん」

「じゃあ、ミートローフは明日の私のお昼ご飯ね」

と嬉しそうに佐都子が言った。

「あ、それとね。バイトの武智さんが言ってたけど、あの火傷の痕の奥さんて、三好さんていうらしいんだけど、その三好さんから電話が掛かって来たわよ」

「え?」

「今度また、お店に行くときに、タダにして貰ったらいいって言ってたらしいわよ」

「もう、なんでそれを早く言わないの!」

「だって、携帯に電話しても繋がらないからおかしいと思って、輝と黎が大喧嘩してたのに、わざわざ事務所に調べに行ったら、机の上に置きっぱなしだったもん」

「あ、そうか……」

「もうほんとに一樹っておっちょこちょいというか、ぬけてるというか、携帯くらい持って出ればいいのに……。なかなか帰ってこなかったから、結構遠くまで行ってたんでしょ?」


 そう佐都子に言われて、どっと疲れが出たが、今まで黙って横で聞いていた澪に「バカじゃん!」ととどめの一発を言われて、僕はもっと疲れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ