最終話 7
「ふーん、その高校生のお兄ちゃんのおかげで助かったんだね」
いつものように夕飯を終えた後、佐都子と二人で話していた。
「うん」
「しかし、澪も懲りないわねぇ」
「うん」
「健太郎くんと浩輔くんって仲直りしたんじゃなかったっけ?」
「うん」
「それで今度は二人でつるんで、澪とリサちゃんを苛めてるんだ」
「うん」
「どうせまた、公園で、邪魔だからどけ!とか言われたんでしょ?」
「うん」
「それでうちの子ら全員で喧嘩になったんだ」
「うん」
「でも、その高校生のお兄ちゃんて良い子だね」
「うん」
「ちゃんとお礼は言えたの?」
「うん」
「一樹もほんとにご苦労様……」
高校生のお兄ちゃんは、本当に優しい子だった。着ていた制服が土埃で真っ白になっていたので、またもや僕が謝ったら、「大したことじゃないです」と自分でパンパンと手で払って、爽やかな笑顔で帰って行った。
しかし、自分の勘違いで、我が子を助けてくれた彼に不快な思いをさせてしまったことで今日も僕は少し凹んでいた。しかも澪にも滅茶苦茶責められたし……。子育ては本当に大変だなと思う。自分の親も、よくもまぁ大人になるまで忍耐強く育ててくれたものだと改めて思った。でも、佐都子の「ご苦労様」の最後の一言で救われたというか、ぐっと胸に迫るものを感じた。なんだかんだ言っても、やっぱり、佐都子は僕の一番の理解者なんだなと思ったからだった。




