最終話 4
ところがその僕の憶測は外れた。一週間後、またもや彼に会うことになったからだった。その日は祝日だったので、家族全員で昼に外食することになって、子供たちはみんな一様に「やったーっ! ラーメンにしようっ!」と騒いでいた。コイツらに肉を食べさせたいから、僕はハンバーガーショップをやってるようなものなのに、ラーメンのほうがよっぽど魅力的らしい。「まぁ、なんか分かる気もするけど……」とは思いつつ、その事実に僕は愕然としていた。
それで秋葉原で男四人で電気屋を物色した後、洋服屋を物色するために別行動していた佐都子と澪と光に合流し、みんなでラーメン屋に向かった。ラーメン屋ではみんなてんでばらばらに注文して、好き勝手に自分の好きなものを食べていた。僕も久しぶりにラーメンを食べたら、美味いなと感嘆してしまった。やっぱり、たまには違うものを食べるべきかなと思いながら店を出たのだが、店を出て、ふと横を見たら、ちょうど隣の洋食屋から出てきた人と目が合った。そして目が合ったと同時に「あーっ!」と思わず大声で叫んでしまった。何故ならその人は、先週上野のガード下の洋食店で僕に目礼してくれた男性だったからである。さすがの僕も、今回は思わず彼に話しかけていた。
「こんにちは! よく会いますね!」
「そうですね。今日はラーメンなんですね」
「は、はい……」
「しかし、秋葉原みたいに人の多いところで出逢うなんて思いませんでしたよ」
「そうかもしれないけど、今あなたが出て来られた洋食屋は僕も結構気に入ってて、よく来るところなんですよ。でも今日は子連れだから、みんながラーメンがいいとリクエストしてきて、それだったら秋葉原の洋食屋の隣に美味そうなラーメン屋があったなと思い出して、それで来てたんです」
「そうだったんですか」
「はい。だからここであなたと出逢ったのは、偶然かもしれないけど、偶然じゃないかもしれないです」
「そうかもしれませんね。とにかく、あなたと私は洋食好きってことなんでしょうね」
そう彼が言ったので、僕と彼は顔を見合わせて笑った。そして、彼は続けてこう言った。
「でもね、あなたと私が洋食好きで、いろんな洋食屋でよく出逢うのは偶然なんかじゃないんですよ」
「え?」
「これには、ある秘密が隠されているんです」




