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「ダークエルフ?……あぁ、あのエロい種族か」

「ね? おかしいよね? お姉さま?」


 髪の長い方の女性が再び問いかける。そんな堂々とおかしいとか言わないでよね、好きでこんな状態になってる訳じゃないんだから。

 てか、お姉さまと呼んでいるって事は、やっぱり姉妹みたいだな。


「えぇ、おかしいわね」


 姉の方の女性が応える。


「町が跡形も無くなっている。しかもゴブリン王が占領した町が……。これは由々しき事態よ。こいつは何か知っているかな?」


 ゴブリン王――。そういえば、援軍が来るとか言ってたけど、彼女たちの事だったのか?

 もしそうなら、また面倒な事になるかもしれん。


「うん、知ってるかも。訊いてみよ?……ねぇ、あんたはここで何があったか知ってる?」


 姉が俺に問い掛けてきた。


「いえ、俺もよくわからないんです。こんな状況になっているのも事故のようなモノでして……」


 俺の答えに満足していないのか、2人は胡散臭そうにコチラを見ている。


「嘘くさいわね。あんた、とりあえずその穴から出てきなさいよ」


 姉が両手を後ろに回しながら言った。


「ただし、ゆっくりとね。じゃないと痛い思いをすることになる」


 また、脅しか。ゴブリン王の時といい、もう……。

 俺だって出たいがね。

 ただ、股間のドラゴンが元気になっているのですよ。

 穴の下では俺は素っ裸だ。腰布はいつの間にか無くなっていたんだよ。途中で落としたみたいだ。何せ、逃げるのに夢中だったからね。さらば、カルロの鼻水付き! まったく未練はない。


 と、話が逸れたな。

 まぁ、俺が言いたい事はだな。さすがに見知らぬ女性に俺の大きくなったドラゴンを見せつけるのは恥ずかしいということさ。


「いやそれが、穴の中で身動きがとれなくてですね。出ることができないのです!!」


 2人はますます不審げな目つきになる。


「出ること事ができない?」

「お姉さま、私がこいつを引っ張り出すわ。だから、お姉さまはそのまま見張っていて!」


 妹の提案に姉は頷いた。

 妹はさらに俺の前に近づき、しゃがみ込んだ。

 おぉ! さらに際どいアングルにっ! 最高だぜ!! けど、ドラゴンが、俺のドラゴンがさらに成長してしまう……。


 俺の心の叫びなど知る由もなく、彼女は俺の側頭部を掴み、思いっきり引っ張ってきた。予想以上の怪力の持ち主。


 イタタタタッ! 首がっ、千切れる!


 たが、彼女は構わず俺を引っ張った。

 姉の方は相変わらず手を後ろに回して、俺の事を注意深く観察している。


 ミシミシという音が聞こえ始めた。地面が裂け、俺の肩が地中から現れる。


 それを見た妹はさらに力を込めて引っ張る。故意になのかはわからないが、先ほどから、2つの柔らかいお山に顔が押しつけられる。


 あかん、あかんで、コレは。

 俺のドラゴンは既に最大まで成長。そして、


 体が完全に地中から抜け出した。

 あまりにも強い力だったので、俺は勢い余って宙を飛ぶ。その時のポーズはさながらグ○コのソレに似ていたと思う。


 人外の女性に晒されてしまった俺のドラゴン。

 彼女たちは目を見開き、一瞬息を飲んだ。

 その後は叫んだり、怒鳴ったりする事はない。ただ、2人とも俺の顔面に拳を叩き込んでいた。


「ぶへっ!」


 ただの不可抗力なのに。

 俺は地面に倒れてしまった。

 だが、すかさず妹の方に合わせ、現数力を行使した。


「ポウッ!」


 両手が出せたら、一番に現数力を使うと決めていた。

 例の青い文字が浮かび上がる。


----------------------------------------------

シャーナ 17歳 女 レベル:250

種族:ダークエルフ


【基礎体力】

生命力:500 魔力:400


攻撃力:450  防御力:400(+100)  速力:550 


【魔鬼理】

・斬風 消費魔力:5

・風鎧 消費魔力:10

・風の調べ 消費魔力:50

・風の女帝 消費魔力:100

 他……

【装備】

・鋼狼の毛皮衣 防御力(+100)


----------------------------------------------


 ダークエルフ?……あぁ、あのエロい種族か。

 それにしても、高えぇ! レベル高過ぎだろ、今までのヤツらは何だったんだ? 次元が違いすぎるわ!

 基礎体力も違いすぎるし、魔鬼理の数も多すぎる。他って、表示しきれてないですやん。


 想像以上の格上である事に驚きを隠せない。

 彼女たちはそんな俺を見下ろしている。


「お姉さま、こいつはただの変態よ。抹殺しましょう」

「そうね、こんな下品な……待って、こいつの肩から出ているのは?」


 姉エルフが俺の左肩を指さした。

 俺もつられて見やると、そこには枯れ枝のように細くなった魔修羅があった。弱々しく俺の肩から垂れている。 


「これって、もしかして魔修羅? って事はこいつは魔人なの?」


 シャーナが信じられないという顔をしている。

 魔手羅を見て、俺が魔人である気づいた。これもゴブリン王の時と同じだな。


「で? どうなの?」


 姉エルフが首を傾げて聞いてきた。

 まぁ、隠す必要もないだろうし、しらばっくれるのも無駄だろう。ここは正直に答えた方がいいな。


「はい、俺は魔人です」


 そう言うと、姉エルフはやれやれと頭を振った。


「ゴブリン王とその配下の者たちが町ごと虐殺された。しかもそこに魔人が現れた、と。はぁ、これは何か大きな動きがあったようね」


 俺はたまらず問い掛けた。


「あの、魔人ってもしかして特別な存在なんですか?」


 俺の発言に2人は耳を疑っているようだ。


「はぁ!? お前、魔人のくせして、そんな事も知らないのか? 魔人の存在は一部の魔族しか知らないトップシークレットでしょ?」


 呆れたようにシャーナが言う。

 おう、悪かったな。

 それにしても、やはり魔人は特別な存在なんだ。俺のステータスに現れる奴ウ力の項目。これが意味する事が何となくわかってきたのかも。あ、ちょっと確認したい事がある。俺のステータスを見ないと。でも今は無理だな。後で確認しよう。


 色々考えていると、2人が胡散臭そうに見てくるので、一応言い訳しておいた。


「と、遠い島国から来ましたもので……」


 今度は不思議そうな顔をする2人。


「島? 魔人は<未開の大陸>から来るんじゃないの?」


 <未開の大陸>? 何それ?


「あ、そうでした! 俺の言い間違いです、テヘッ」


「……ゴブリン王追跡が、まさか魔人の保護になるなんてね。ここで調べる事はもうない。今は一刻も早くレーミア様に引き合わせないと」


 俺のぶりっ子アピールを無視して、姉エルフがシャーナに言った。

 てか、レーミア様って言った? レーミア様って、ゴブリン王の言っていたレーミア将軍の事? マジ? 何たる偶然だ。


「そうだね。早く戻ろう! 私、お腹空いちゃったっ!」


 シャーナがお腹を抑えながら言う。

 腹ペコアピールかわいいね! って言っとる場合じゃねぇ。 なんかさらにヤバイ者に近づこうとしてるぞ!


「わかった、わかった。つくづく我慢しないなぁ、シャーナは」


 姉エルフが苦笑しながら言う。そして、俺の方に振り向く。


「魔人よ、悪いが、あんたにはこれから私達の主、レーミア将軍に会ってもらう。逃げようとは思うなよ? 向こうに行けば、ケガも治してあげられるのだからな」



 

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