表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『俺だけドロップ率∞のバグスキル持ちだった ~底辺探索者のダンジョン配信が、いつの間にか世界最強チャンネルになっていた~』  作者: やまご


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/19

第13話 逃げ場ゼロの距離と、少しだけの変化

Sランクダンジョン――深層。


空気が、重い。


「……さっきよりヤバいですね」


俺が呟くと、隣のアリアが小さく笑った。


「今さら?」


コツ、コツ、とわざとらしく俺の前に回り込む。


距離。


また近い。


「顔」


指で顎を持ち上げられる。


「ちゃんと前見て」


完全に支配されている構図。


コメントアーカイブ


「いつもの」

「甘サド安定」


俺は苦笑する。


「近いんですよ」


アリアは一瞬だけきょとんとした顔をして――


すぐに笑う。


「そう?」


そして。


さらに一歩。


詰める。


「これくらい?」


「っ……!」


ほぼゼロ距離。


吐息が当たる。


わざとだ。


絶対わざと。


コメント欄。


「距離バグ」

「詰めてくる」


そのとき。


――ゾワッ


空気が歪む。


「来るわよ」


アリアの声が変わる。


次の瞬間。


影が弾けた。



シャドウレイス。



実体の薄い、霊体型モンスター。


数は――多い。


「囲まれてる」


俺は剣を構える。


だが。


アリアが動いた。


ぐいっ。


「え?」


引き寄せられる。


そのまま。


後ろから抱き込まれる。


「ちょっ」


「動かない」


耳元で囁かれる。


低く、静かな声。


背中に当たる感触。


柔らかい。


温かい。


完全に密着。


コメント欄。


「また拘束」

「密着戦闘」


アリアの腕が俺の前で交差する。


逃げ場ゼロ。


「ねえ」


耳元。


「この距離でも戦える?」


完全に試されている。


俺は苦笑する。


「やるしかないですね」


その瞬間。


レイスが襲いかかる。


すり抜ける軌道。


見えづらい。


だが――


「そこ」


俺は踏み込む。


ザンッ!!


斬撃。


レイスが霧散する。


ドロップ。



ポン

ポン

ポン

ポン



コメント。


「4個」

「霊体でも落ちる」


アリアが小さく息を吐く。


「へぇ」


「やるじゃない」


だが。


距離はそのまま。


むしろ。


少しだけ力が強くなる。


「まだ来る」


レイスが増える。


俺は連続で斬る。


ザン!

ザン!

ザン!


ドロップが増える。


だが。


問題は。


この体勢。


背中に当たる感触。


動くたびに――


触れる。


「……集中しづらいんですけど」


思わず本音が出る。


アリアが一瞬だけ黙る。


そして。


くすっと笑う。


「言うようになったわね」


耳元。


少しだけ楽しそうな声。


「でも」


さらに近づく。


「慣れなさい」


コメント欄。


「教育されてる」

「支配」


レイスを全滅させる。


そして。


最後の一体。


俺が斬る。


ザンッ!!


討伐。



ポン

ポン

ポン

ポン

ポン

ポン



コメント。


「6個」

「増えてる」


その中。


淡い光。


俺は拾う。


鑑定。



ユニーク装備

「霊纏いの腕輪」


レア度

SS



アリアが覗き込む。


……まだ近い。


いや。


むしろ。


さっきより自然に近い。


「ねえ」


「本当におかしいわね」


そして。


俺の腕を軽く引く。


今度は前から。


ドン。


「……」


「……」


また密着。


今度は正面。


距離ゼロ。


コメント欄。


「また」

「ゼロ距離」


アリアの顔が近い。


かなり近い。


そして。


少しだけ。


柔らかい表情。


「でも」


「悪くない」


ボソッと呟く。


「え?」


聞き返そうとした瞬間。


アリアはすぐに離れる。


「気のせい」


いつもの顔に戻る。


だが。


ほんの一瞬。


違った。


コメント欄。


「今の何」

「デレた?」


そのとき。


ダンジョン奥。


さらに深い場所。


光が揺れる。


そして――


別の気配。


「……誰かいる?」


俺が呟く。


アリアの表情が変わる。


「探索者……?」


だが。


次の瞬間。


軽い笑い声。


聞こえた。


「へぇ」


「面白いじゃん」


知らない声。


女。


若い。


そして。


明らかに強い。


コメント欄。


「新キャラ」

「来た」


アリアが一歩前に出る。


俺を少し後ろに下げるように。


「……誰?」


闇の中から。


シルエットが浮かび上がる。


小柄な体。


だが。


放つ圧は――


明らかにSランク。


「初めまして」


その少女は笑う。


「“バグ配信者”くん?」


そして。


アリアを見て。


ニヤッとする。


「その人」


「ずっとくっついてるけど」


「重くない?」


コメント欄。


「火種」

「三角関係きた」


空気が一瞬で変わる。


アリアの声が低くなる。


「……何?」


少女は楽しそうに笑う。


「いや別に?」


「ちょっと気になっただけ」


そして。


俺を見る。


「ねえ」


「次、私とも組まない?」


コメント欄。


「きたあああ」

「ヒロイン追加」


アリアの手が。


ぎゅっと俺の腕を掴む。


さっきより強く。


「……ダメ」


ボソッと。


小さく。


だが確実に。


拒否。


コメント欄。


「独占欲」

「きた」


少女は笑う。


「へぇ」


「そういう感じ?」


そのまま背を向ける。


「じゃあまたね」


「楽しみにしてる」


姿が消える。


沈黙。


数秒。


俺は言う。


「……誰ですか」


アリアはしばらく無言。


そして。


小さく呟く。


「面倒なのに目つけられたわね」


そのまま。


俺の腕を引く。


ぐいっ。


また距離が近くなる。


「……離れないで」


小さい声。


今までより少しだけ弱い。


だが。


次の瞬間。


いつもの顔に戻る。


「行くわよ」


コメント欄。


「今の何」

「完全にデレた」


俺は少しだけ思った。


(さっきの……)


(ちょっと可愛かったな)



第13話 完


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ