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『俺だけドロップ率∞のバグスキル持ちだった ~底辺探索者のダンジョン配信が、いつの間にか世界最強チャンネルになっていた~』  作者: やまご


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第11話 Sランクダンジョンと、近すぎる距離

「……Sランク、ね」


俺はスマホに表示された通知を見つめていた。


探索者協会からの正式依頼。


未踏破Sランクダンジョンの調査。


コメントアーカイブはすでに騒ぎになっている。


「来た」

「次のステージ」

「世界編」


隣でアリアがくすっと笑う。


「いいじゃない」


「退屈しなさそう」


俺はため息をつく。


「普通に考えて危険ですよね」


アリアは一歩近づいてきた。


コツ、コツ、と靴音がやけに近い。


そして。


俺の胸に指を当てる。


「普通じゃないでしょ」


トン、と軽く押される。


距離。


近い。


近すぎる。


コメント欄。


「距離」

「また始まった」


アリアは俺の顔を覗き込む。


青い瞳。


至近距離。


「怖い?」


囁くような声。


息が少しだけ頬にかかる。


俺は少しだけ視線を逸らす。


「……まあ、多少は」


アリアは満足そうに微笑んだ。


「正直でいいわね」


そして。


ぐいっと腕を掴まれる。


「行くわよ」



数時間後。


Sランクダンジョン入口。


空気が違う。


重い。


冷たい。


まるで“拒まれている”ような圧。


コメント欄。


「やばい空気」

「ガチのやつ」


俺は一歩踏み出す。


その瞬間。


ゾクッとした。


「……」


背筋が震える。


アリアが横から言う。


「いい反応ね」


そして。


俺の背中に手を当てる。


そっと。


撫でるように。


「大丈夫」


「私がいる」


その一言で。


妙に安心する自分がいる。


コメント。


「ヒロイン」

「完全にヒロイン」


ダンジョン内部。


暗い。


静かすぎる。


だが次の瞬間。


影が動いた。


「来るわよ」


アリアの声。


現れたのは――


黒狼シャドウウルフ


複数。


Sランク下位モンスター。


速い。


一瞬で距離を詰めてくる。


「はやっ……!」


俺は剣を構える。


だが。


次の瞬間。


アリアが俺を引き寄せた。


ぐいっ。


「えっ」


ドン。


背中に当たる。


アリアの体。


柔らかさ。


温もり。


そして。


耳元。


「動かないで」


囁き。


そのまま。


彼女の腕が俺の前に回る。


まるで。


後ろから抱き込まれるような体勢。


コメント欄。


「」


「」


「密着」


アリアの剣が閃く。


ザンッ!!


シャドウウルフが吹き飛ぶ。


さらに一体。


ザシュッ!!


一瞬で殲滅。


だが。


問題はそこじゃない。


近い。


とにかく近い。


背中に当たる感触。


呼吸。


匂い。


全部が近い。


俺は動けない。


アリアが小さく笑う。


「何」


「固まってるの?」


耳元。


完全にからかわれている。


コメント。


「甘サド」

「距離バグ」


俺はなんとか言う。


「いや……近いです」


アリアはわざとらしく考える仕草。


「そう?」


さらに。


ぎゅっと力を込める。


「っ……!」


完全に密着。


コメント欄。


「やりやがった」

「押してる」


アリアはくすっと笑う。


「このくらいで動揺してたら」


「Sランクは無理よ?」


そして。


ふっと離れる。


急に距離が空く。


それだけで少し寂しいと感じた自分に驚く。


「ほら」


「次はあなた」


俺は頷く。


前に出る。


シャドウウルフの残りが飛びかかる。


ザンッ!!


討伐。


その瞬間。



ポン

ポン

ポン

ポン

ポン

ポン

ポン

ポン

ポン



コメント欄。


「9個」

「Sランクでもバグ」


その中。


虹色。


俺は拾う。


鑑定。



ユニーク装備

「影纏いのコート」


レア度

SSS



コメント。


「また伝説」

「おかしい」


アリアが覗き込む。


また近い。


肩が触れる。


いや。


わざとだろ。


「ねえ」


「本当に面白いわね」


そして。


指で俺の顎を軽く持ち上げる。


「もっと見せて」


完全に挑発。


甘サド全開。


コメント欄。


「女王」

「支配されてる」


そのとき。


ダンジョン奥から。


圧。


今までとは別格。


「……」


「ボスね」


アリアが笑う。


「いいわ」


「ここから本番」


そして。


俺の耳元で囁く。


「ちゃんとついてきなさい」


「離れたら――」


少し間を置いて。


「捕まえるから」


コメント欄。


「甘サド強化」

「逃げられない」


俺は苦笑する。


「逃げませんよ」


だが内心。


少しだけ思った。


(逃げたら……どうなるんだろうな)


そんなことを考えてしまうくらいには――


距離が近すぎた。



第11話 完


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