表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/156

第88話 茉莉花

 皇城府・北対きたのついにある太后おおきさきの庭園。


「この後、ルージュピークの戦場へ戻る。面倒をかけたな」


「久しぶりに洋食を工夫しました。なかなか楽しかったですよ」


 月夜見が不死鳥(きょう)にいる間、昼食はずっと太后が用意してくれた手料理だった。月夜見にすれば、血の通ってない女(・・・・・・・・)の趣味が料理と言うのは一つのミステリーである。

 太后の護衛を務める振袖の女が、月夜見の前に紅茶を持ってくる。刀自古の煎れた紅茶には及ばないが、それは口には出せない。



 庭園の電話が鳴る。電話を取った振袖の女が、太后に確認を求める。


「第3戦団の副司令が、面会を求めているそうです」


「第3戦団の副司令ですか?」


 ルージュピーク演習場にて、第2戦団の遠征部隊と第3戦団の南部方面軍が衝突した。その知らせを受けた月夜見は、第3戦団に対して『帝の敵』を宣告するよう皇城府に要請した。


「第3戦団からの弁明したい旨の申出は、水蛭鹿ひるか帝に却下されたからな。それで太后に泣きつこうと言う訳だろう?」


 水蛭鹿帝の意向は単純だった。第3戦団自ら南部方面軍を殲滅せんめつせよ、その後でなら弁明の機会を与える……と言っている。

 何とか「内部で穏便に済ませたい」第3戦団は必死だろう。


「それで、副司令……なのでしょうか?」


「ここは男子禁制の庭園だろう。第3戦団の2名の副司令官のうち1名が女性だったはずだ」


 無駄なことだ……と月夜見は思う。射流鹿に剣を向けた以上、最早戻り道はない。南部方面軍だけを切り捨てるか、一緒に殲滅せんめつさせられるか。

 それとも、帝国の悪夢(・・・・・)を再び起こすか。 



 男子禁制の庭園に案内された女性士官は、早乙女さおとめ彩芽あやめ少将と名乗った。月夜見や太后と同年代だろう。

 太后の側には、護衛の振袖の女性と月夜見がいる。しかし早乙女少将は、仮面を外している月夜見を「第2戦団司令官の月夜見」とは気付いていなかった。


「お人払いをお願い致します」


 護衛の振袖の女性と月夜見の方を見て、早乙女少将は太后に申し出た。


「ああ、そう」


 早乙女少将の言葉に太后に短く返事をし、振袖の女性へ視線を移す。


茉莉花まつりか。人払いが必要だそうよ」


「はい」


 茉莉花、と呼ばれた女性は小さく頭を下げると、その右手が振袖の中へ消える。次の瞬間、庭園に響く銃声と共に早乙女少将は眉間から血を吹き出して背中から倒れていた。

 動かなくなった早乙女少将だったもの(・・)を冷たく見下ろす太后。


「第3戦団には、ゴミを引き取りに来るように連絡しておいて頂戴ね」


「はい。承知しました」


 太后の指示に、茉莉花は小さく頭を下げて承諾した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ