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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第五章

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第82話 謝罪

 一部を破壊された工廠施設。重甲機兵の整備に支障が出ることが判明して、放棄が決定する。軍事拠点として再稼動できないよう要所を爆破する準備に入った。


「申し訳ありませんでした!」


 作業が一段落し、ロビーに集まった兵員たちの前で御堂は頭を下げる。



 B級重甲機兵が6対3の不利な状況。機体から降りたパイロットに空中移送機エアブースターをぶつける奇襲……成功するかに見えた奇襲も、御堂の衝動的な行動により失敗し、乱戦となる。

 入鹿が敵リーダー格の将校と白兵戦となったため、Sユニット操縦者(スーパーバイザー)を欠くGV3X(サンダーバード)は戦えなかった。

 5対2の不利な乱戦をかろうじて凌ぎ、施設の一部破壊だけで済んだのは幸運だったと言える。

 今回の御堂は、足を引っ張った上に役立たずであった。



 御堂の謝罪に、パイロットの山本中尉と新藤中尉は、返答ができずに顔を見合わせるしかなった。絶対に許されない行動である以上、厳しくすべきだが……可哀想との心情が働いてしまう。


「まあ、もともと長期の駐屯の予定ではなかったからな」


 施設班・責任者の新藤しんどう少佐が、御堂を慰める発言をして頭を上げるように促した。パイロットの新藤中尉は、施設班の新藤少佐の弟である。

 兄が許したのを受け、新藤中尉も御堂の謝罪を受け入れる。山本中尉もそれに続いてくれた。


「鉄のロボットは壊せても、生身の人間は殺せなかったかい?」


「……はい」


 ベテランの2人の中尉は、ため息をつく。しかし2人とも御堂の心情には、同情を寄せている風である。



 御堂が、一番謝らなければいけないのは入鹿なのだが……その入鹿の姿が、ロビーのどこにも見つからない。


「玲!」


 発着路のアスファルトの上に、片膝をついた姿勢で駐機しているGV3X(サンダーバード)の側に入鹿は立っていた。いつの間に着替えたのか、入鹿はパイロットスーツではなく第2戦団の赤い軍服を着ている。


「玲ってば!」


 入鹿の背中に向かって御堂は繰り返し呼びかける。入鹿は、その声に一瞬だけ振り向いたが、無視するようにまた前を向く。


「こらあ! 無視すんな!」


 入鹿の前に回りこんで、胸座むなぐらを掴む。


「貴女とは口を利きたくありません……と言ったはずです」


「何よ、それ。6歳離れた婚約者の話をした時のことじゃん!」


 入鹿は顔を背けて、御堂の顔を見ないようする。


空中移送機エアブースターの件を謝りたいから、ちょっとの間だけ口をきいて下さい!」


「謝らなくても結構ですから、話しかけないで下さい」


「じゃあ、許してくれるのね。ありがとう!」


 入鹿の胸座むなぐらを掴んだまま、御堂は感謝の礼を述べた。

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