第81話 見過ごせない!
前衛3機のジークフリード、その足下に降り立っている3人の将校。
その3人へ目掛けて空中移送機が急降下してくる。後衛3機のジークフリードは、手にするライフルを空中移送機に向けるが、即座に発砲できたのは1機のみ。
発光する粒子ビームは、空中移送機の外装を削るだけで標的を外した。残る2機が、顔を見合わせる仕草の後でライフルを構える。
しかし、間に合わない!
前衛3機の機体にパイロットが乗り込む前に、空中移送機は地表に激突して炎を上げる……はずだった。
「ごめんなさい! やっぱり、見過ごせない!!」
御堂の操るGV3Xは、地表に激突する直前の空中移送機へ体当たりをしていた。
重甲機兵の体当たりで軌道を逸らされた空中移送機は、アスファルトの発着路から外れた砂場の方へ突っ込み爆発する。
敵も味方も閃光と砂混じりの爆風に、しばらく目を開けれなかった。
それでも不意を突かれた第3戦団よりも、第2戦団の方が対処は早い。山本・新藤の2人は、各機体に搭乗して第3戦団の後衛に斬り込んで行く!
ライフルを装備する後衛は、3機ともB級のGV4である。光学兵器の武装では、打刀で迫る山本機と新藤機とは戦えない。
3機のうち2機は、ライフルを放棄。副武装のナイフに装備を持ち替えて、格闘戦に対処した。更に、大崎中佐の部下2名のGV4が少し遅れて到着する。
山本機と新藤機は、5機のGV4と乱戦に突入する。
大崎中佐のジークフリードはGV3型であったが、機体に搭乗せずに地表で入鹿と対峙していた。引き抜いた軍刀の剣先を入鹿に向けて正眼に構えている。
「お前だけは、ここで……」
突進の勢いを乗せ、最上段から振り下ろされる刃を、入鹿は左手で逆手に握る鞘で受け止めた。右手には引き抜いた軍刀がある。
右手の軍刀を、ガラ空きになっている腹部に突き入れる!
……手応えはあった。
直後、大崎中佐のGV3の右腕が入鹿に伸びた。
身を躱す入鹿。
複座型機体は、1人での戦闘はできないが基本動作ができる。機体にSユニット操縦者が残っていたらしい。
GV3は、大崎大佐をコクピットに収容するとバックパックから『撤退』の信号弾を打ち上げた。
アスファルトの発着路で戦闘していた第3戦団の5機のGV4も、それを確認して後退し始める。
第2戦団には追撃する余力はなく、後退する6機を見送るしかなかった。
発着路上の戦闘領域から撃たれた粒子ビームの流れ弾で、工廠施設の建物も損傷を受けていた。幸い死傷者こそ出なかったが、施設の要である整備工廠が被害を受けた。




