第74話 女子会?
デモ隊に対応した3人の女性兵は、工廠施設のロビーでへたり込んでいる。報道関係者が取材している間は、強行に声を上げていたデモ隊だが、取材が終わり報道関係者が引き上げるとほとんど同時にいなくなってしまった。
報道されることを意識したパフォーマンスだったのか、報道関係が仕掛けたヤラセだったのか……真面目に一般市民の盾になろうとしたことに馬鹿馬鹿しさを覚えてしまう。
「折角だから……食べて飲もうよ」
3人の前には、御菓子やビールが積まれている。この工廠施設へ駐屯を命じられた際に、各々の兵が個人的に持ち込んだおやつだったが、3人に同情して皆が提供してくれた。
既に日没を過ぎたので、重甲機兵による襲撃はないと思われる。御堂もビールを開けて、一気にあおる。個人が持ち込んだおやつでも、数十人分が集まると相当な量だった。
一頻り女子3人で盛り上がった後、入鹿がパイロットスーツを着た姿で側を通りかかった。
「どこ行くのよ、玲」
御堂に呼び止められた入鹿は、面倒そうに振り返る。
「GV3Xの整備のために、一度『朱雀』に戻ります。特殊な機体ですし、GV4の部品も使えませんのでここでは整備しきれません。夜の内に整備を完了して明朝には戻ってきます」
「えー、今から?」
「空中移送機の乗り降りだけですから、僕一人で十分ですよ。貴女はここにいて大丈夫です」
太陽光がなければ重甲機兵のZCF機構は十分な動力を供給できない。しかし補助バッテリーを標準装備するB級機体は、補助バッテリーの電力を各部アクチュエーターへ直接供給することで基本動作は行える。
A級機体にはない、B級機体のメリットである。
「……」
既に宴は一段落している。2人とも本来のパートナーの所へ行ってしまい、御堂は一人だけのようだ。
「あたしも行く!」
「お酒が入ってるでしょう」
「Cユニット接続しなきゃいいんだし。今からなら『朱雀』の食堂使える。もう、軍用携帯食の塩辛いビーフシチューは飽きたの! 焼き魚定食食べるの!」
「今日は、月一回の特別日で『うな重弁当』らしいです」
「絶対、行く!」
御堂がパイロットスーツへ着替えるのを待って、アスファルトの発着路に駐機しているGV3Xへ向かう。御堂の足取りはしっかりしていたが、念のためCユニットの神経接続は切断したままにしておいた。
戦艦『朱雀』から迎えに来たデルタ翼型の空中移送機に、GV3Xは搭乗する。
戦艦『朱雀』の停留する中央管制塔との距離は、およそ20キロメートル。空中移送機でなら10数分の移動だった。




