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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第五章

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第73話 月夜見の試し

 帝国の近衛軍には3つの戦団がある。帝が直轄し首都である不死鳥(きょう)を含めた中央を防衛する第1戦団、帝国の東方を防衛する第2戦団。そして、帝国の西方を防衛する第3戦団。

 東方に比べて西方には外郭都市が多い。ナーガオウ州も、西方の外郭都市の一つであり、近衛軍の中でも第3戦団との関係が深いと言える。



「第2戦団が制圧したルージュピークの拠点は3つ。そのうち中央管制塔には旗艦『朱雀』を、南管制塔には戦艦『胡蝶』を停留させている。戦艦の艦長を務める将校に法的根拠のない同盟議会の決議を持っていても相手にはされない。すると北東部の工廠施設に、何かを仕掛けてくるだろうな」


 振袖の警務官がピクリと反応して、太后おおきさきへ視線を移した。


月夜見つくよみ様が射流鹿いるかを向かわせたところですか?」


 月夜見は頷いたが、特に申し訳なさそうでも困ったふうでもない。


「射流鹿で大丈夫かしら?」


「私は射流鹿の能力を疑わない。それに、射流鹿には優秀な部下をつけてある。不測の事態に、射流鹿が力不足と判断すれば、任務を代行するはずだ」


 太后はホッとすると同時に、小さなため息を漏らす。


「月夜見様らしい。信頼しているように見せて、実際にはあの子の能力を採点なさっているんだから」



 A級ジークフリードを撃破した工廠施設の第2戦団は、今現在全く異質な『敵』と向かい合っていた。そして、その最前線に立っているのは御堂だった。

『戦争反対!』

『第2戦団は出て行け!』

『人殺し!』

 工廠施設は、演習場の端にあって資材や部品を搬入しやすくするために都市の大通りに接続している。その大通りで、50人程度のプラカードを掲げた市民デモが行われていた。

 デモ活動を指導している代表者3人と、施設正門で交渉役をしているのは御堂をはじめとした女性兵3人である。交渉は全くの平行線。しかし、それでも御堂たちは交渉を中断させられない。


 工廠施設の制圧部隊は、施設を稼動させる最少人数しかいない。押しかけてきたデモ隊に対応する余裕はないと判断する入鹿は、機銃掃射でデモ隊を射殺・掃討する指示を出した。


「駄目よ、近衛軍が非武装の一般市民に銃を向けるなんて!」


「僕たちは軍事行動をしているわけではありません。無制限かつ法の制約を受けない報復に来ているだけ(・・)です」


「あたしが話をします!だから、それまで待ってよ!」


 御堂に賛同してくれた施設班や整備班の女性兵2名とともに、交渉役を買って出たのである。御堂達が交渉している間は、機銃掃射は行われない。

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