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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第五章

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第72話 同盟議会

 庭園の電話が鳴る。振袖の警務官が対応し、受話器を置いてから円形テーブルの二人の側に来た。


「同盟議会が緊急決議を下したそうです」


 円形テーブルに端末装置を置いて、画面に書面を表示させた。



 同盟議会とは、元老院と共に帝国の行政を担うもう一つの議会である。

 同盟関係で繋がる都市国家は対等ではなく、帝国としては明確な区分を設けている。帝国憲法を共有する「直轄的な都市国家」と独自の憲法を掲げて「独自の自治を行う都市国家」があり、前者は直轄領または中核都市、後者は自治領または外郭都市と呼ばれている。

 元老院には中核都市からしか議員を出せないが、同盟議会は中核都市あるいは外郭都市の別なく全同盟都市から議員を出せる。帝国は、元老院と同盟議会による二院制により議会制民主主義の政治形態を取っている。



 元老院に比べて同盟議会の存在感は薄い。皇城府の中枢にいる月夜見にとっては雑魚に等しい。振袖の警務官が示した端末画面を覗きはしたが、興味はなかった。


「ルージュピーク侵攻部隊の指揮権を第3戦団に委ねる、との決議だそうです」


「……?」


 月夜見も和泉も、振袖の警務官も、意味を解するまでに少し時間が必要だった。



 星間協定に違反したイルドラ軍にナーガオウ州軍も加担した。そのため攻撃を受けた第2戦団は、ナーガオウ州に対しても無制限かつ法に縛られない報復を行う権利を全宇宙圏で認められたことになる。

 そして帝の私兵である近衛軍は、帝国の議会の外の存在である。近衛軍に命令できるのは、帝あるいはその執行機関である皇城府だけである。元老院にも同盟議会にも、近衛軍に対して何の権限もない。



「不可思議な決議ですね。第2戦団を殴っておいて、殴り返すのは第3戦団にしろ……と言う意味でしょうか」


 ナーガオウ州も帝国の外郭都市の一つであり、同盟議会には議員を出している。その議員が何らかの発議を求めたのは有り得る。しかし……。


「これが、帝への陳情なら正否の回答もしますが……何の権限も有しない同盟議会の決議と言われても、答えようがありませんね」


 太后はひたすら困惑する。


「それが目的だろうな」


 少しして、月夜見が「合点がいった」ふうに口元を緩めた。


「どう言う意味かしら?」


「皇城府が回答を滞らせてる間に、何らかの既成事実を作って前例をデッチ上がるつもりだ」


 第2戦団が侵攻して直ぐに恭順の意思を示したナーガオウ州議会が、少し前にてのひらを返した。その理由は第3戦団にあると月夜見は察した。

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