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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第一章

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第7話 傭兵部隊

 ドームの仮設工廠(ドッグ)を出陣した3人の傭兵は、戦場となった赤塵の丘から直線距離なら5キロメートル程度の場所に待機していた。瓦礫のくぼみに機体を隠し、ボロボロになった高層建築物から帝国の新型機の様子を探っている。


「ほう、なかなか女じゃねえか?」


 双眼鏡を覗くフォボスは、舌舐めずりをするように言った。双眼鏡の中の御堂はスーツのファスナーを下ろして胸を露わにしていた。


「新型とは言え、あの女のジークフリードにオレらはやられたのかよ」


「あの女にやられた訳じゃねえ、新型の性能に圧されただけよ」


 ディモスは、新型機の性能が予想以上だったからだと思っている。10年以上戦場を渡り歩いてきた自分が、二十歳そこそこの小娘に負けるはずないからだ。


「新型さえ奪ったら、仕返しがてらかわいがってやるさ」


 フォボスはニヤニヤしながら双眼鏡で御堂を姿を追いかけていた。ゲル状衝撃吸収材を封入したパイロットスーツのせいで素のボディラインは読み取れないが、開いたファスナーから覗く豊満な胸がフォボスの劣情を刺激した。

 マルスが階段を上って来た。

 二人の側に立つと、フォボスから双眼鏡を受け取り帝国近衛軍の様子を自分の目で観察した。


「そんな楽しい思い出を作ってる暇はないぞ」


 フォボスをチラリと見て、また双眼鏡を覗き込む。


「最初の襲撃を所属章なしで仕掛けたんだ。もう俺たちの協定違反は確定してる。このままバックレるなら逃げ切れるかも知れんが……もう一回仕掛けるとなったら、俺たちを見た奴を全員口封じしないとならん」


「かわいがってから黙らせりゃいいんですよ」


 フォボスはマルスの言葉を全く意に介してない。フォボスの協定違反に対する認識の甘さは、マルスを不愉快にさせた。

 無制限かついかなる法の制限も受けない報復。それは、帝国近衛軍が「報復」を口実に、あらゆる残酷行為を正当化できてしまう。


「女のパイロットだな」


「あの女の方が、新型のパイロットですよ」


 新型機の左肩部装甲には「001」の数字が記されている。御堂のパイロットスーツの左肩にも「001」とある。

 従来型機と入鹿のパイロットスーツには「108」が記されていた。


「二人とも動かねえな。当然と言えば当然だがな」


 何かしら行動を起こしてくれればいいと思っていた。補助バッテリーの電源を消耗したところを襲撃すれば、新型機を撃破するにしろ、鹵獲ろかくするにしろ、楽になるはずだ。

 しかし、どうやら余計な行動をせずに、不測の事態に備えて補助バッテリーも温存している。おそらく撤退の準備を始めているはずだ。


「さすがに帝国近衛軍の第2戦団だな。仮面女の教育が行き届いてる」


 マルスが言う仮面女とは、第2戦団の統括司令である有馬月夜見(つくよみ)将軍のことだ。重甲機兵の用兵に関しては帝国随一との評判がある。

 常に仮面で素顔を隠しており、経歴も非公開であるため様々な噂がある。正体はともかく、指揮官としては一流であり、敵にすれば極めて厄介なのは間違いない。

 第2戦団の本隊が動く前に、電光石火で強襲する必要がある。


「俺たちの身元がばれたら、祖国の家族やスポンサー様へも飛び火する。くれぐれも軽率なことはするな」


 マルスは、改めてフォボスとディモスに釘を刺した。

 二人は肩をすくめて承諾し、マルスの出撃命令に従って階段へ向かった。しかし、マルスはまだ双眼鏡を覗いて何かに注視していた。


「どうかしましたか? ボス」


「いや、あの男の方……随分と姿勢がいい」


「男の方ですか? たいした腕前ではなさそうですが?」


 入鹿の従来型機は、新型機に戦いを任せて後方で何もしなかった。フォボスもディモスも、それは「新型機の足手纏い」だからだと判断していた。


「帯刀してるな」


「ああ? 一応は士官ですし。軍刀くらい持ってるでしょう」


 士官が帯刀するのは珍しくはないが、重甲機兵の乗り降りに持ち出すか?

 フォボスもディモスも特に気にする様子はなく、マルスもそれきり考えるのを止めた。

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