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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第四章

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第69話 施設攻防戦、犠牲

 ジークフリード型重甲機兵の腰部には、鼠径部分の素体間接構造を保護する3枚のスカート型草摺(くさずり)装甲が取り付けられている。

 GV3X(サンダーバード)の剣は、草摺くさずり装甲を貫いて右鼠径部上の腰部フレームを砕いていた。


「まず、一つ!」


 左脚が巨体を支えられなくなった機体は、糸が切れた操り人形(マリオネット)のような挙動で倒れ込んだ。17メートルの巨体の重量は100トンだと言われている。発着路のアスファルトを通して、GV3X(サンダーバード)のコクピットにも振動が伝わった。

 象徴シンボル機であるA級ジークフリードの撃破……山本(079)機と新藤(098)機が交戦していたB級機体も動きを止めた。



 GV3X(サンダーバード)のバックパックから、敵側へ投降を勧告する信号弾が打ち上げられた。

(お願い、これで終わりにして!)

 御堂の闘争心や昂揚は、もう静まっていた。できるなら、これ以上『誰かが死ぬかも知れない』戦いをしたくない……そう思っていた。

 数秒の静寂。

 A級ジークフリードの胸部装甲が展開して、コクピット部分が露出する。

(……良かった)

 御堂は、パイロットが投降するのだと思った。しかし、A級ジークフリードの右腕が持ち上がり、ロングソードの剣先を再びGV3X(サンダーバード)へ向けてきた。

(え?)

 しまった! 不意打ちだ……御堂は焦った。

(ヤバ……動けない!)

 御堂の意思と関係なく……GV3X(サンダーバード)は、右手で打刀を引き抜いた。そして、左手がA級ジークフリードのコクピットを抑え込む。

 右手の打刀が、A級ジークフリードのコクピットへ突き立てられた。

 A級ジークフリードもGV3X(サンダーバード)と同じ複座型だ。あんな形で剣を突き立てれば、CユニットもSユニットもパイロットは無事ではすまないだろう。

 ……カン……カン……。

 不規則な冷却音を響かせながら、安全装置の働きで強制的にA級ジークフリードのZCF(ズィーフ)機関が停止された。



 Cユニットの計器から灯が落ちていることに御堂はやっと気付いた。


「玲、あなたがやったのね」


 A級ジークフリードの不意打ちを予測した入鹿は、Cユニットの神経接続を切断した。機体の制御コントロールは、御堂から入鹿に移っていたのである。


「貴女にはできないでしょう」


 入鹿の返事は短い。御堂には、その感情が読み取れなかった。

 ……ありがとう、と言うべきか?

 ……殺さなくても良かったのに、と言うべきか?

 御堂には、わからなかった。



 A級ジークフリードの不意打ちは失敗したが、山本(079)機と新藤(098)機の注意を引きつけることには成功した。

 そして、入鹿がコクピットを貫くまでの十数秒の時間を稼いだのである。その時間で、2機のB級機体は戦場から脱出できた。

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