第68話 施設攻防戦、決着
A級ジークフリードは、構えを取るGV3Xから少し距離を取ってから体勢を立て直す。凧型盾を胸の高さに上げ、右手のロングソードの剣先をGV3Xへ向けた。
ナーガオウ州軍の残る2機のB級機体は、山本機および新藤機と交戦している。第2戦団側の方が優位に戦いを進めているため、2機のB級機体がA級機体を加勢する余力はないだろう。
「バッテリー残量74パーセント、消費速度は約2倍か」
B級機体のZCF機構は、A級機体のそれ比べて3分の1程度の出力しかない。その出力不足を補うためにサブ動力装置か蓄電池を搭載する。B級ジークフリードならバッテリーから供給する電力で各部アクチュエーターの出力を補う。
この、バッテリーの重量分だけ主力重量比が下がり、A級に比べて機動性が低下する。そしてバッテリー容量が戦闘可能な時間を制限する。
Cユニットのモニター中央に、A級ジークフリードが映ってる。凧型盾に隠れる姿を、御堂は忌々しく感じる。
「あの凧型盾、邪魔なんだけど?」
「さすがに、断ち斬るには重くて分厚い代物ですね。でも、貴女の突きなら盾より早く貫けるでしょう?」
貴女の……の台詞が、御堂の自尊心をくすぐる。煽てられて、上手にコロがされている可能性も自覚しつつも、悪い気分ではない。
「じゃあ、それでいくね!」
近衛軍の重甲機兵が装備する打刀のように、軽く薄い刃を鍛造する技術をナーガオウ州は有していない。
標準武装としている十字型ロングソードの刃は厚く重い。「斬る」よりも「叩く」ための剣であり、そのため衝撃を受け止める「盾」も必要になる。「重い剣」と「重い盾」を装備した機体は、A級機体のメリットである機動性が犠牲になっている。
B級とは言え機動性を追求したGV3Xなら、十分付け入る隙はある。
脚部推進機関がGV3Xの機体を持ち上げる。そこから滑空して一気にA級ジークフリードと間合いを詰めた。
GV3Xの横薙ぎの斬撃は、A級ジークフリードの凧型盾により受け止められてしまう。
動きの止まったGV3X。
そこへ一撃を浴びようと、ロングソードを握る右腕が振り上げられた。刹那、GV3Xの脚・腰・背中が発光する。
ロングソードが振り下ろされるよりも、GV3Xが後退して間合いを取り直す方が早かった。
握った打刀を反転し、剣先を真っ直ぐ前方に向ける。再び脚・腰・背中が発光し、勢いを乗せた剣先が、A級ジークフリードの腰部を抉って主フレームを砕いた。
御堂の突きに、A級ジークフリードは凧型盾を動かせなかった。




