第66話 施設攻防戦、開戦
山本中尉の079機は、およそ1200メートル前方に出現した3機のジークフリード型重甲機兵を確認した。直ちに信号弾を打ち上げて、サブモニターに映像を拡大してみる。
胸部装甲にはナーガオウ州軍の軍章が描かれているが、部隊章は3機ともバラバラだった。寄せ集めの分隊らしい。
山本機は、打刀を構えながら後方の新藤機と合流するためにゆっくりと後退する。
山本機が後退する分、ナーガオウ州軍機は前進して、工廠施設へ距離を縮めてくる。
御堂はGV3XのCユニットへ身体を沈め、アタッチメントを腋下部に接続する。
施設の出入口を駆け出してくる、入鹿の姿が見えた。
「玲! 急いで」
Sユニットから上半身を乗り出して叫んだ。入鹿がコクピットから降ろされたワイヤーに掴まってSユニットへ入ると、胸部装甲がコクピットを収容する。
「Cユニット、神経接続。続けて戦闘モードへ移行します」
Cユニットの計器に灯が入る。少し遅れて、御堂の脳髄に揺さぶられるような振動と痺れるような感覚が走る。
身体が二重になるような奇妙な感覚……。
それは数秒で収まり、下降するエレベータに乗った時のような手足が軽くなる感覚と共に意識が醒めてくる。
重く低い駆動音が、甲高いジェット音へ変わった。
装甲の隙間から光粒子を撒き散らしながら、GV3Xは立ち上がる。
機械眼球が捉えた映像が、各ユニットの正面モニターに転映された。
既に、山本機と新藤機は前進してきたナーガオウ州軍機3機と交戦していた。
「A級ジークフリードです!」
映像を分析した管制用AIが照合結果をサブモニターへ表示する。
『ジークフリード型A級重甲機兵機』
『GV2A型式識別番号0165』
A級ジークフリードは、山本機と交戦している。ナーガオウ州軍の他の2機はB級のGV4で、その2機が新藤機を挟撃しようとしていた。
「あたしたちはどうするの?」
「A級機体を引きつけます。一気に斬り込んで下さい」
「了解!」
GV3Xの右腕が、左腰の打刀を引き抜く。機体各部の推進機関に灯が入り、腰・脚・背中が眩く発光した。
腰部と脚部の推進機関が機体を浮かせる。背面の主推進機関の出力で、17メートルの巨体が地表を滑空する。
急接近するGV3Xに気付いたナーガオウ州軍のA級ジークフリードは、後退して山本機から離れる。両者の間に、GV3Xが割り込んだ。
予め、分隊内での対応は決められている。GV3XとA級を戦わせるのが『月夜見の指示』だ。
山本機は、新藤機とともにB級機体へターゲットを絞る。




