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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第四章

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第61話 女の一言

 ナーガオウ州議会は、ルージュピーク演習場襲撃事件の事後処理として『3軍合同演習に関与した全ての兵員および議員の引き渡しに応じる』決議をしたが、その決議に反対する勢力がルージュピーク演習場を占拠した。

 ナーガオウ州議会は「説得」を希望するも、それを無視して月夜見が第2戦団を投入してしまう。第2戦団の奇襲攻撃は成功して、5つの管制施設のうち中央管制塔を含む3つを制圧した。


 戦艦『朱雀』の司令官室の早朝。月夜見つくよみ刀自古とじこは、テーブルを挟んで朝食を取っていた。この朝食は、刀自古が調理して用意したものだ。

 司令官室の電話が鳴る。刀自古が食事を中断して電話を取ったが、一言二言の会話で電話を切る。


「州議会より、面会の申し入れがありました」


 ありました……としか報告しないのは、面会を拒否したからだ。


「ルージュピーク演習場に立て籠もった連中を『叛逆者』と言えずに『否定派』と言い換えた時点で、話をする価値はないからな」


 当初、ナーガオウ州議会は、ルージュピーク演習場を占拠された事件を『反乱あるいは叛逆』と呼称していた。それを現在は『決議否定運動』と言い換えている。

 ナーガオウ州議会が、てのひらを返したと考えるべきだろう。


「それなら、こちらで勝手にやるだけだ」


 合同演習を騙った襲撃事件。星間協定に反する卑劣な戦闘行為には、攻撃を受けた帝国近衛軍には無制限かついかなる法の制限も受けない報復が認められる。



 とは言え、月夜見が動かせる戦力も決して十分ではない。

 第2戦団の主たる任務は、帝国の東方を防衛することである。ナーガオウ州は、帝国の西方に位置する。いたずらに戦力を投入して、東方防衛の任務に支障をきたすことは許されない

 第2戦団の旗艦『朱雀』とそれが搭載する重甲機兵6機、そして第1戦団から派遣された『朱雀』同型艦の『胡蝶』と重甲機兵4機。これがルージュピーク演習場制圧のために、月夜見が投入した戦力だった。


「ルージュピーク演習場に残存する敵戦力は?」


 月夜見の問いかけに、刀自古は端末を確認した。


「ジークフリード型B級が11機、A級が2機ですね。州議会が掌を返す前の情報を元にしてますので一応信用できると思います」


「A級の所在が判明したら、GV3X(サンダーバード)を向かわせる」


GV3X(サンダーバード)はB級機体ですよ?」


「眼の中に入れて可愛がるだけが愛情でもあるまい。試練を課すのも愛情だ」


Cユニット操縦者(コントローラー)の選択に異議を申します」


「第2戦団の任務に干渉しない約束だ」


 月夜見は笑い、刀自古はため息をつく。


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