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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第四章

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第56話 御堂の独断

 戦艦『朱雀』から出撃したGV3X(サンダーバード)は、先行していた2機のGV4(ジークフリード)と合流して、前時代の廃墟が残る領域エリアの探索へ向かう。

 敵機を誘い出すために、囮役としてGV3X(サンダーバード)1機だけを先行させ、残る2機には領域エリアから少し外れた地点で待機した。

 15分後、入鹿が不自然な気流の流れに気付く。


「10時の方向、B級ジークリード1機。距離およそ3000メートル」


 入鹿の報告に、御堂はGV3X(サンダーバード)の機械眼球を向けた。



 ナーガオウ州軍のGV4機の駆動音が、戦闘モードに切り替わる。

 GV3X(サンダーバード)は、州軍機(GV4)を正面に捉えた。州軍機(GV4)は、盾を装備せずに両手でロングソードを握っている。ロングソードの剣先が、GV3X(サンダーバード)に向けられた。

 投降を呼びかける信号弾に、州軍機(GV4)は反応しない。


「投降の意思なし、と判断します。撃破して下さい」


 GV3X(サンダーバード)は右脚を引き、打刀うちがたなを脇から後方へ引く。

 無防備に見える左肩が、州軍機(GV4)に向けられる。しかし、州軍機(GV4)は小刻みに両肩を震わせるだけで打ち込んで来なかった。

(誘いには乗らないか……意外と手練れかも?)

 Cユニットの御堂は、眼前の機体の挙動に集中する。


「……これ!」


 GV3X(サンダーバード)は、打刀うちがたなを投げ捨てた。そして、素手となった両腕を州軍機(GV4)に見せつける。


「駄目です。敵機が武器を捨てない以上、撃破すべきです」


「お願い。今だけ……あたしの自由にさせて」


 御堂の、泣き出しそうな声が入鹿のヘッドセットに届く。


「コクピット・ハッチを開いて頂戴。もし、州軍機(GV4)に不審な動きがあったらSユニットは爆破していいから。玲だけは逃げて」


 御堂は、GV3X(サンダーバード)州軍機(GV4)にゆっくりと近づける。そして、もう一度懇願した。


「お願い……玲」


 GV3X(サンダーバード)の胸部装甲が展開、コクピットが露出される。

(ありがとう、玲!)

 州軍機(GV4)のロングソードを握る両手に、GV3X(サンダーバード)の両手を重ねる。そして、御堂はSユニットから立ち上がって生身の姿を晒して見せた。

 州軍機(GV4)の震えが止まる。少しの間をおいて、胸部装甲が開いてコクピットから州軍兵(パイロット)が顔を見せた。



 操縦者と神経接続で繋がる重甲機兵は、操縦者がパニック状態に陥った場合には同調不良を起こす。武器を捨てたくとも指さえまともに動かない。

 機体が小刻みに痙攣するように震える動きは、操縦者に起因する同調不良が生じた際の特徴である。



 生身の御堂を見て、恐怖でパニック状態だった州軍兵パイロットはやっと落ち着きを取り戻せた。御堂がゆっくり頷く。

 州軍兵パイロットは、コクピットを出て地表に降りる。

 御堂はそれを確認し、後方で待機する僚機に向けて、信号弾が打ち上げた。

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