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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第四章

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第54話 監禁?

 中央デッキから通路に出たところで、すぐにエリカは入鹿を見つけた。入鹿の側には、月夜見の秘書官が居て、何かを話していた様子だった。


「入鹿准尉、GV3X(サンダーバード)のバッテリーの交換が完了しました!」


「わかりました。直ぐに行きます」


 踵を返す入鹿に、深めに頭を下げた秘書官に違和感を憶えつつも……エリカは入鹿の直ぐ後ろについて歩いた。


「サクヤって良くも悪くも馬鹿ですよね」


「はい?」


 唐突すぎる問いかけに、入鹿も戸惑う。


「馬鹿だから色々と間違えて、迷惑かけちゃうんです」


 エリカは入鹿の戸惑いも無視して言葉だけを続けた。


「小細工なんてできないくらい本物の馬鹿なんです。それだけでも、信じてあげて下さい。お願いします」


 エリカは立ち止まって、深々と頭を下げた。入鹿は視界の隅で、それに気付いたが中央デッキへ移動することを優先する。



 中央デッキの台座に腰掛けたGV3X(サンダーバード)は、上半身を前屈みにする体勢をしていた。ワイヤーで胸部コクピットのSユニットへ入った入鹿は、各部のチェック灯を確認する。


「オールグリーン」


 コクピット部を胸部奥の定位置に固定して、胸部装甲を閉鎖・密封した。

 するとバッテリーの接続がレッド表示に切り替わった。


「バッテリー接続部に異常が出ました。確認して下さい」


 機体の外部と繋がる通信回線を通して異常を伝える。


「はい。直ぐ確認しますので、そのまま(・・・・)で待ってて下さいね」


「そっちからもチェック頼むぞ。変化があったら(・・・・・・・)連絡してくれ」


 エリカと興田主任の声だった。



 やられた……と、入鹿は察した。入鹿と御堂とで話がつくまで、整備班が結託して閉じ込めるつもりだ。アイドリング状態の駆動音と微かな振動の中で、入鹿も『どうしたものか』と思案する。


「……ねえ、玲」


 ヘッドセットから御堂の声が聞こえた。いつになく神妙な感じである。御堂にすれば、意を決しての呼びかけだった。


「貴女は……僕の想像以上に、他の方々から愛されているんですね」


「え?」


 御堂に届いた入鹿の声は、ため息混じりでウンザリ感に溢れていた。


「悪意がなかったことを確信する根拠が『馬鹿だから』と言うのは……貴女の天賦の才だと思います。羨ましいとは思いませんが」


「あーのーねー」


 最初の神妙さはカチンときた感情に吹き飛ばされて、本性の物言いに戻っていた。


「言い方よ、言い方!あなた、仲直りする気あるの?」


「仲直りする以前に、喧嘩をしてません」


「……!」


 確かにそうだ。御堂が落ち込んでいるだけで、入鹿は変わらない。猜疑心が強いのも常日頃からのことだ。

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