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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第四章

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第53話 確執

 CユニットとSユニットの信頼と連携が一番大事。

 普段の御堂なら、脊椎反射のごとく入鹿を追いかけるはずだ。しかし、今の御堂はモジモジと躊躇って動かない。興田おきた主任とエリカは、何事かを察した。



 GV3X(サンダーバード)が、第2戦団に運び込まれてから2週間程度の時間をかけて機体とパイロットの調整が行われた。そして調整が完了して、この戦場に投入されることになる。


 GV3X(サンダーバード)での初陣の直前、御堂は入鹿に声をかけた。

 戦艦『朱雀』の中央デッキに繋がる通路の休憩スペース。自販機のホットココアを入鹿に渡して、何気ない会話をしたつもりだった。

 出撃が迫り、会話を中断して中央デッキに向かう。入鹿は、口を付けなかったホットココアを飲み残し廃棄コーナーに流した。


「え!もったいない。せっかく奢ってあげたのにィー」


 何気ない台詞……少し悪戯っぽく言ったつもりだった。


「毒が入っているかも知れませんから」


「何よ、それ。酷いなあ」


(ちょっと、冗談にしても質が悪いなあ)


「あたしが、あなたを殺そうとしてるみたいじゃないの」


「しているでしょう」


「はああ!そんなはずないでしょう。あたしは、あなたを守るって約束したじゃないの」


 伸ばした右手が入鹿の胸座を掴む。その右手を、入鹿は乱暴に払いのけた。


「……痛い!」


「中央デッキに行きますよ」


 先に歩き出す入鹿を、慌てて追いかける。


「あのね、二人で一緒にGV3X(サンダーバード)に乗るんだよ。相手の機嫌損ねないようにしようよ、お互いにさ」


「問題ありません。SユニットにはCユニットを爆破する権限もありますから。邪魔なら排除します」


 その時、やっと御堂は気付いた。入鹿の言葉の一言一言が本気であることに。

 御堂が、安全保障局に軟禁されていた容疑は「入鹿准尉の暗殺未遂」だったのを思い出した。

(まさか、玲はそれを信じてる?)

 刀自古とじこ行政官の顔が、御堂の脳裏に浮かんだ。

(玲だって、あたしを殺すつもりでGV4を自爆させたんじゃないの!)


「冗談じゃないわよ。GS4もろとも爆破させられたのを生き残ったのに……」


「大丈夫です。次は失敗しません」


(そう言う問題じゃないんだよ……)



 それから、御堂は入鹿に声を掛けられないでいる。

 軍務に関すること、戦闘に関することは普通に入鹿は話しかけてくる。それが御堂をホッとさせると同時に苛つかせていた。


GV3X(サンダーバード)のバッテリー交換が終わったぞ。エリカ、坊ちゃんを呼んでこい。嬢ちゃんは、先にCユニットに入って待ってな」


 興田主任の指示に従って、エリカは入鹿のいるであろう方向に走り出した。

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