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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第二章

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第43話 誤解

 尋問室は広くはない。ビジネスホテルのシングル室程度だろうか。

 出入口は端に1ヶ所で、そこには2名の武装した警備兵が立っている。テーブルもなく、部屋の中央に2脚の椅子だけが置かれて、御堂と刀自古が腰掛けている。

 御堂は特に拘束されてはいない。少なくとも、本格的な嫌疑をかけられているわけではないんだと思った。

 御堂は、思い切って申し出ることにした。


「あの……訂正して下さい」


「何を?」


「あたしが、入鹿准尉を殺そうとした……とか」


 刀自古行政官は、また双眸を細める。今度は不快感とは別の、何かに興味を抱いたようだった。


「3軍合同演習と言う3カ国間の公的行事を利用して、イルドラ軍は軍事行動を起こしました。これは星間協定でも禁止される卑劣な戦闘行為です」


「でも。あれは、ジュエン大尉の個人的な意趣返しで……」


「貴女は、ジュエン大尉と個人的に連絡をとっていたんですね?」


「……違います!」


 3カ国間の公的行事を成功させることは、国際的信用を向上させるかも知れない。しかし、水蛭鹿ひるか帝が即位した帝国は『受けた屈辱は剣によって返す』を不文の憲章としている。


「3カ国間の公式行事だから成功させなくてならない。だから、裏で不都合なことが行われても3カ国間で隠蔽に協力すべきだ……と、言うのですか?」


「……」


「貴女が、どんな正義感をお持ちなのかは詮索しません。けれど、結果として貴女は卑劣な戦闘行為に加担しました。そして、入鹿准尉を見捨てたんです」


 そう言う見方もある……御堂は言葉に飲み込んだ。



「明らかに星間協定に違反する軍事行動に、貴女は『朱雀』への報告義務を果たしませんでした。それ故、入鹿准尉は『御堂准尉はイルドラ軍と内通している』と判断しました」


 御堂の肩がピクリと動いた。


「イルドラ軍への内通者が新型機(GS4)のパイロットであるのは、極めて危険です。入鹿准尉は、自機(GV4)の自爆に新型機(GS4)を巻き込むことで機密漏洩を最小に留める手段を取りました」


 そうだ……目の前が真っ白になったんだっけ。

(あれは……玲が、あたしを殺そうとしたんだ)

 御堂の頬を涙が流れた。



「あ、あたしは……ずっと玲を呼び続けてました。本当に心配して……」


「入鹿准尉の生存が確認されたら、トドメを刺すためではないのですか?」


 今度は、御堂が怒気を込めた視線を刀自古行政官に向けた。刀自古行政官も、涙が流れるままにしている御堂の顔を見つめる。


「御堂准尉を病室へ連れて行きなさい」


 刀自古行政官は、審問室を出て行った。

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