表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/49

第23話 帝国の悪夢

 パイロットスーツから通常の軍服に着替えた御堂と入鹿は、整備班の面々と陸上戦艦『朱雀』の食堂へ向かった。新型機(GS4)に関わる兵員には、メンテナンスを担当する整備班の8名が含まれる。


「交流会のパーティやってるのに、何でわたし達は焼魚定食なのよ」


「スィーツとか食いだめしておきたかったですね」


 御堂の尻馬に乗るのは、同年代の整備兵・山根エリカ軍曹だった。

 しかし、見渡すと食堂を利用してる兵士は意外に多い。それは第2戦団から交流会に参加する兵士が、思いの他少ないことを物語っていた。

 食事を食べ終わると、各々が好みの飲み物を用意してテーブルに再度集まった。


「わたし達だけが貧乏クジかと思ったら、みんなパーティに参加してないのね」


「そりゃあ、イルドラ公国の連中と仲良くしたい脳天気は多くねえよ」


 整備班の主任を務める興田おきた浩二郎こうじろう大尉は吐き捨てるように言う。50代後半のベテラン技師だ。



 およそ40年前。後に「赤椿の変」と呼ばれる内乱が帝国を揺るがした。

 帝国民を差し置き「帝に権力が集中することを危惧」する『反帝派』と「帝を絶対権力者」とする『擁帝派』は、帝国内で静かに議論を重ねているはずだった。

 突然、反帝派により当時の帝が誅殺ちゅうさつされる事件が起きてしまう。

 混乱に乗じて帝国内の権力を掌握すべく反帝派は、国外勢力と結んで内と外から侵食しようとした。この時、反帝派に呼び込まれて帝国民を迫害・略奪した中にイルドラ公国もあった。

 時の帝を誅殺した「赤椿の変」から14年後。帝の嫡子である水蛭鹿ひるか帝が武力蜂起する。水蛭鹿ひるか帝は、四散した擁帝派をまとめ上げて圧倒的な武力で、反帝派と帝国外勢力を帝国から駆逐した。

 先帝の誅殺から水蛭鹿ひるか帝の即位までの14年間は、暗黒時代として「帝国の悪夢」と呼ばれている。イルドラ公国も悪夢の象徴の一つである。



「40年なんてのは長いようで短いんだ。自身のみならず父や母が『赤椿の変』で大変な目に遭った連中はいくらでもいる。もっと若い奴だって、爺さんや婆さんの悲惨な話は聞かされるんじゃないかな」


 その「帝国の悪夢」を終わらせた水蛭鹿ひるか帝が、現在も帝位にある。反帝派と結んでいたイルドラ公国が、帝国と友好的な関係を築けるだろうか。


「イルドラ公国や反帝派の奴らは、水蛭鹿ひるか帝を殺戮さつりく帝とか呼んで、デマを拡散しながら被害者仕草をしてやがるけどな。本当に殺戮をやったのはどっちだよ」


 口に出してしまってから興田大尉は、感情的な言動に気付いて後悔する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ