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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第一章

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第20話 所属不明機戦の反省会

「もう!まるまる一週間、どこにいたのよ?医療棟の病室全部見て回ったのにいなかったじゃない」

「録画は始めてるのでしょう?無駄話は止めて反省会とやらを始めて下さい」

「映像はいらないから、録音だけよ」

「じゃあ、始めて下さい」

「入院してたんなら、お見舞い行ってあげたのに……一体どこに入院してたの?」

「始めて下さい!時間が勿体ないんだから……」



「まず、この事件で最良の判断って何だったと思う?」

「僕が帰還を提案した時に、すぐに帰還すれば良かったんじゃないですか」

「なぜ、できなかったのかしら?」

貴女あなたが拒否して、赤塵の丘に留まることになったんですよ?」

「何で、あたしは反対したのかしら?」

「憶えてないんですか?」

「ごめん。何かイラッとして、あなたを問いだしてたのだけは憶えてるんだけど……何でイラッとしたんだっけ?」

「……」

「な……何よ、その視線……?」

「反省会とやらも止めましょう。どうせ、何を話し合っても記憶に残らないと思いますので……」

「だから! 録音しておいて、後で聴き直すの! あたしだって、自分が成長するためにちゃんと考えてるのよ。協力しなさいよ!」

「発言したその場で絡まれて、録音を聴き直した後でもう一度絡まれる。面倒が繰り返されるだけの未来しか想像できません」

「コミュニケーション深めるチャンスだよ。あたしも、あなたのマザコン脱却に協力するから、お互い様ってことで」

「僕がマザコンでも、あなたみたいに他人に迷惑はかけてません」

「……!」

「今、右手が動きましたね?」



「改めて、最良の選択ができなかった原因はなんだったのかしら?」

貴女あなたの性格が悪いことだと思ってます」

「あたしの性格が、どう言うふうに悪いの?」

「僕が『帰還』を提案した時に、貴女は『指揮権が自分にある』と言って拒否しましたよね」

「……うん、それでイラッとしたかな」

貴女あなたは『自分が勝てる相手だけを選んでマウントを取る』だけの卑しい性格をしてます。重甲機兵の操縦技術では、貴女あなたは僕より強い……だから、貴女あなたの中では、僕を格下とみてます」

「いや。違う、違う」

「反面、優位に立てない相手……良い例が、敵A級ペルセウスですが……格上の相手には、怖じ気づいて何もできない」

「……」

「格下からの意見に『自分の権威が侵害される』と思ったんでしょう。それで不愉快になった。意見の意味や内容より、自分の不愉快を優先したんです」

「……酷いわ、それ」

「本当に酷いですね。性格が悪い上に、任務に対する責任感が欠如してます」

 ガシッ!

「酷いのは、あなたの口と性格!! はいはい、あたしは性格も悪くて無責任な女です! でも、他人を傷つけないように言葉を選ぶくらいの思いやりはあります!」

「僕の胸座むなぐらを掴んでる右手を引いて下さい」



「一樹教官の降格の件は聞いてる?」

「いえ」

「一樹教官が、大佐から少佐に降格されたの。懲罰人事だって……」

「懲罰?」

「襲撃事件で、新型機の保全より戦闘を優先させちゃった件。あたしの判断ミスが問題になったらしくて、それを一樹教官が庇ってくれたの」

「それで、大佐から少佐へ2階級降格ですか」

「一樹教官の処分を減軽して貰えるよう、あたしたちも嘆願書とか書いて提出したくてさ。無駄かも知れないけど……協力してよ」

「お断りします」

「何でよ? あなただって教官にはお世話になったじゃない! 教官としては優秀な方だし、人格的にも立派な方だわ。誰かと違って」

「一樹教官が優れた教育官だとしても……それが下されるべき処分を減軽する理由にはなりません」

「一樹教官なら、これからも立派なパイロットを育成できるわ。教官がこれまでの階級を維持する方がメリットは大きいと思うの」

「優秀な人材は1人だけじゃありません。一樹教官がいなければ、次の人材が能力を発揮する機会を得ます」

「あなた、一樹教官嫌いなの?」

「好き嫌いの問題ではありません」

「いいわよ、もう。あたし1人で嘆願するから!」

「では、僕は失礼します」



-第一章 終わり-

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